2015年6月4日木曜日

web@yoichi(避難中/音楽について)




無人島に持っていく10枚/邦楽編
自己紹介がてら、まずこのへんから始めてみます。
私が自分のカネで最初に買った邦楽のレコードは、たしか井上順(順二と名乗っていたかもしれない)の「涙」というシングル盤。その後、森田健作の「友だち よ泣くんじゃない」(シングル盤)を買い、そのころからだんだんラジオを聴くようになり、洋楽や日本のフォークソングのレコードも欲しくなり、洋楽は CBSソニーのギフトパックでサイモン&ガーファンクルを聞いて深みにはまり、日本のフォークソングは、ええと、日本のフォークソングは買わない で、けっこうエアチェックや友だちのレコードのダビングですませていました。基本的には、いわゆる「洋専」体質です(いまも)。
1970年代半ばまでの日本のフォークソングでは、井上陽水の「断絶」「センチメンタル」「氷の世界」といったアルバムをテープでよく聞いていて、それら でギターを覚えました。好きだった曲は「能古の島の片思い」「帰れない二人」等。Am、って感じじゃない曲のほうが気に入っていました。
あとは、現存している古いカセットテープ(四隅をビスで留めてある工業製品っぽいやつ)に「地球はメリーゴーランド」(ガロ)「恋挽歌」(海援隊)「小便 だらけの湖で」(三上寛)「千鳥足」(古井戸)「ふざけるんじゃねえよ」(頭脳警察)などいろいろ入っているはず。だけど、このへんはレコードで聞いたこ ともないし、曲名の正確な表記とかは曖昧です。
あーそうだ、やまがたすみこ。当時住んでいた福岡で、KBC九州朝日放送(ラジオ)のレコードコンサートがあって、そのとき楽屋を直撃してモーリスのギ ターにサインしてもらいました。かわいー、と思ったんだけれど、でも、いま、曲がひとつも思い出せないのは、けっこうショック(ポスター、部屋に貼って あったはずなのに)。そして、こんなのをフォークの範疇に入れていいのか疑問だけれど(でも当時はカレッジフォーク風の歌謡曲、だったはず)、クラスの古 川君があべ静江のLPを買って、それをみんなでダビングしてよく聞いていました。シーちゃん、おれたちはあのころなにもわかっていなかった。その古川君と 玉谷君と私の三人で音楽の時間にフィンガー5の「個人授業」を演ったのが、私の「人前ギター」の最初だったわけで……、って、こんなこと書いていて、いつ になったら「無人島に持っていく10枚」にたどり着くのか!?
シャキッといこう。
とにかく、順不同で10枚。
いや、そんな簡単には決まらない。
まず、20枚。
■「外道」/外道
■「Mio Fou」/ミオフー
■「JAPANESE GIRL」/矢野顕子
■「BAND WAGON」/鈴木茂
■「この道をゆけば」/オフコース
■「テクノデリック」Y.M.O.
■「CLOVER」/スガシカオ
■「hullo hulloa」/高野寛
■「一触即発」/四人囃子
■「熱い胸さわぎ」/サザンオールスターズ
■「4to3」/小川美潮
■「Feel Happy」/原田真二
■「服部」/ユニコーン
■「Aventure」/大貫妙子
■「Delicate Motion」/TENSAW
■「denim-ed soul 2」/EAST END×YURI
■「KYLYN LIVE」/KYLYN
■「ひこうき雲」/荒井由実
■「GOODIES」/エポ
■「Mint-Electric」/PSY・S

え~~、ぜんぜんたりないじゃん!
あと10枚。

■「PINK」/PINK
■「OiRA」/ジョニー、ルイス&チャー
■「ミーハー」/森高千里
■「LIGHTN'UP」吉田美奈子
■「ブーゲンビリア」/Cocco
■「'77 Les Rallizes Denudes」/裸のラリーズ
■「SONGS」/シュガーベイブ
■「撫子純情」/原田知世
■「IN A MODEL ROOM」/P-MODEL
■「魔法の黄色い靴」/チューリップ

え~~、ぜんぜんたりない!
あと10枚、
は、
やめときます。
しかしクリエィションはどうするフラワー・トラベリン・バンドはどうする「ロンバケ」はどうする「ヘッド博士」はどうするチューインガムは風はNSPは木之内みどりはどうする……。

「無人島に持っていく10枚」決定は、まあ、のんびりいずれ。
もちろん「洋楽編」もやる!

(19991202)


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500円のB'zを探している
最近、近所のレコード屋にいくたびにB'zの中古CDを探しています。どのアルバムでもいいんだけれど、できれば500円くらいで欲しいなー、と探してい るのですが、値崩れしていないんだな、これが。人気あるんですね、B'z。trfとかプリプリとかは5枚1000円で売っているのに。
なんでB'zを聞いてみたくなったかというと、このあいだYahoo!の掲示板でとてもおもしろいスレッドを読んだから。「Yahoo!掲示板B'z」と いうB'zのトピックスが集まったところで「B’zはパクリしかやらないのか?いや、そんなことはないだろう。」というスレッドを発見。なにげなく読み始 めたら、だれかが途中で「B'zは最高のコミックバンドだ」みたいな発言をして、その発言がきっかけとなり、さらに「B’zにオリジナリティーはあるの か?いや、そんなことはないだろう。」というスレッドが発生して、いろいろ揉めながらも、とにかくかなりキチンとした議論が積み重ねられていて……、と、 すごいことになっていました。
しかしふたつのスレッドの発言数、合わせて1700以上もあったんだぜ。「朝まで生テレビ」をダブルで観たように疲れましたが、ああオレはなにやってるんだ!
B'zというのはハードロックのかっこよさとJポップ的なセンスを巧みにブレンドした人気者だ、ということがわかりました。ただオリジナル曲の中に、エア ロスミスやレッド・ツェッペリンの曲そっくりなものがいくつかあり、そのことが批判されているんですね。私はB'zの曲をひとつも知らないのでなんともわ からんですが。
B'zのベストアルバムが発売されて大ヒットしたとき、朝日新聞で都築響一氏が「売れているということは知っているが、自分のまわりに買った人間は一人も いない。まるでSFみたいな話だ」といった主旨のことを書いていましたが、私も同感です。B'zって、もうずいぶん長いあいだ人気者みたいじゃないです か。淘汰されないってことは、やっぱりなにか私にはわからない魅力があるのだろうと思います。それで別冊宝島「音楽誌が書かないJポップ批評3」の 「B'z嫌いのためのB'z入門」なんて記事を読んだりもしてみたのですが、残念、ただの頓珍漢原稿でした。
私はB'zを1曲も知らない。いや、「1曲も」はウソで、むかしCMで流れていた曲の「荒野を駆け抜け~、どこまでも~」という部分と、タモリが司会をし ている番組のテーマ曲(番宣でよく聞く)のギャギャギャギャギャ~ンというギターのフレーズは知っています。けっこうアクの強い音なので、耳に入れば「こ れがそうなんだ」とは思います。
が、それだけ。
なんで~?
オレの生きているところはほんとうに日本なのだろうか?
さて腹が減ったのでメシでも食いにいこう。
ついでにディスクユニオンとレコファンを覗いてこよう。
しかし気になるなあ、B'zってエアロスミスやレッド・ツェッペリンとどのくらい似ているんだろう。
このくらい?



それともこのくらい?


(19991202)
★Yahoo!掲示板B'zへGO!


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それで、315円でB'zをGET!
というわけで、メシを食いにいったついでにレコファンに寄ったら、増設されたJポップの中古盤コーナーでB'zの「LOOSE」というアルバムを発見。帯なしで300円+消費税でした。
えー、けっこうカッコいいお兄さんたちじゃないですか。このまえテレビで見たGLAYやSADSより嫌いではないです。私はなにしろYahoo!の掲示板 にある1700以上の発言に目を通しましたから、その中で言われていた「あれはあれのパクリ」みたいな曲も聞いてみましたが、うーん、まあそう思って聞け ばねえ、というくらいかなあ。そういう具体的な部分以前のところで、まず私は引っかかってしまった。
っていうかぁ、B'zのサウンドって、そこらじゅう「カッコいい外国ロック」みたいですな。CDがかかっている1時間弱のあいだ、ずっとそう思っていまし た。でも、しかし、結婚式の披露宴でエレクトーン演奏を聞いているみたいな、この居心地の悪さはなんなのだ。あるいはカラオケルームで外国の曲を選んだと きに感じる「ん!? なにこの演奏」みたいな気分。無理して似た感じのロックバンドを考えたら、うーん、「ハイドラ」あたりのTOTOとか。
うちのCDプレーヤーは6連なんですが、たまたまB'zの次にマウンテンの「CLIMBING!」が入っていて、それが連続再生されて1曲目の 「Mississippi Queen」が始まった途端に、それまで萎えていた体がいきなり「おっ、おっ、おっ、きたぞ~」と反応してしまいました。CDの録音レベルは低いし、音も モコモコなのに、ああ、体がどうしようもなく外人を求めてしまう。
むかし「いなかっぺ大将」やドリフターズのギャグで、特定の音楽がかかるとついつい踊りだしてしまう、みたいなのがありましたが、ああいうことって、ほんとにある。
(19991202)

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あれは樹木希林のダンナのこと
私の実家は東京都町田市なのですが、町田といえば外道ですね。えーと、いまの日本では外道とB'zはどっちが人気者なのですか?
外道というのは1970年代半ばに一部熱狂的なファンを持っていた、3人組のハードロックバンドです。いま手元にある2枚組CD「外道LIVE」のライナーのプロフィールを引用すると、
S48 8月
警官に“外道”と罵倒されたことによりグループ名を「外道」と命名。幻の名バンド“エム”出身の加納秀人(G&Vo)、“TOO MUCH”出身の青木正行(B)、そして中野良一(Ds)というトリオ編成で白樺高原音楽祭でデビュー。無名ではあったが、他の有名グループをおさえて一 大センセーションを巻きおこす。
S48 10月
トリオ・レコードよりシングル「にっぽん賛歌」でデビュー。コンサート活動を開始。
S48 11月
「ライヴ・ロック・イン・一橋」300余名の暴走族が襲来。
S49 8月
この年最大のロック・フェスティバル「郡山ワンステップ・フェスティバル」に出演。小野ヨーコも舞台のソデで、秀人の扇情にマッ青になる。
S48 9月
ファースト・アルバム「外道」発売。
S50 元旦
ハワイ、ダイヤモンド・ヘッドクレイターに於ける“SUNSHINE FESTIVAL”に出演。10万人の観客に外道コールが巻き起こるほどの大成功を納め、それはアメリカ・イギリスに新聞・ニュースで報道された。
(中略)
S50 4月
芝増上寺で本堂ホールでワンマンコンサート。
(中略)
S50 8月
ワールド・ロック・フェスティバルに出演。ジェフ・ベックらと競演。
(中略)
S51 8月
町田の祭に出演。町のどまん中で20万人を熱狂させた。
S50 10月
惜しまれつつ日比谷野音にて解散コンサート。各メンバーソロ活動に入る。
となっております。
すごいですねー。「幻の名バンド“エム”」はたしかゴダイゴのギターの人も在籍していたんですよね。「300余名の暴走族が襲来」「小野ヨーコも舞台のソ デで、秀人の扇情にマッ青」「アメリカ・イギリスに新聞・ニュースで報道」「祭に出演。町のどまん中で20万人を熱狂」。はい私、その祭りで騒いでいた 20万人のひとりです。四半世紀もまえの話です。
個人的に体験した外道の話。
ステージにはいつも外道神社の鳥居がありました。加納秀人のストラトキャスターは天に吸い込まれていきそうな、伸びやかな音でした。コアな客はほんと、ガ ラの悪いツッパリ(not ヤンキー)でした。ドラムの中野良一さんは友だちの中学の先輩で、ちがう友だちの家で会ったときにいちゃもんをつけられて(からかわれて)、僕と原川君は 正座をさせられて怖かったです。解散の噂は口コミで拡がり、ウソだと思って日比谷野音に駆けつけました。ほんとうだったので40分くらい騒いで合同コン サートを中断させてしまい、カルメンマキ&OZファンに「外道ファンは帰れ」と怒鳴られました。外道のあとには裸のラリーズが出ました。等々。
当時、小田急線新原町田駅前のスガナミ楽器に出入りしていた高校生(ついでに喫茶店「英国館」で一服)にとって、外道はスターでした。私は末端でちょろちょろしていただけですが、コアなファン(弟分?)だったU君やK君はどうしているのか。
そんなわけでして、私の中ではいまだに大メジャーな外道。「日本ロック&フォークアルバム大全」(音楽之友社)というナイスな本の中で「外道」を紹介して いる前田理氏が、「ロックンロールバカ?」という曲の「バカ」は誰だろう? と書いていますが、あれはたしか内田裕也のことです(歌詞は「ブスな女房も らったら、おっちゃん一躍有名人」)。そして「外道LIVE」のライナーにある( 前田氏も書いている)、「警官に“外道”と罵倒されたことによりグループ名を『外道』と命名」というエピソードですが、私の記憶では、たしか八王子のほう にあった少数精鋭の暴走族が解散するときに、知り合いだったメンバーから、バンドが名前をもらった(それで、多くの暴走族が外道ファンになった)というこ とだったらしいのだけれど……。
いけいけ、外道!
(19991203)


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なんとプリファブが渋谷に!
「LINK」部屋をつくりながらFukuiさんの「Looking For PREFAB SPROUT」に遊びにいき、さらにリンクをめぐって、久次氏の「メキシコを責めないで!」までいって、私はもう、マックともどもフリーズしそうになりました。
なんと! プリファブ・スプラウトが日本にくる!
今月の18日(土曜日)に国内盤のベストアルバム(輸入盤はもう出まわっています)が出るのに合わせ、渋谷HMVにやってくるとのこと!! なにやらサイン会もあるらしく、私、明日は渋谷に用事があるので、HMVに寄ってCDの予約をしてこようと思っています。
プリファブ・スプラウトというのは1980年代にイギリスから現れたメロディアスなロックバンド。当時日本では、スミスやスタイル・カウンシル、アズテッ ク・カメラあたりと比較されていたような記憶があります。「スティーリー・ダンのようなひねくれた曲を書く新人」といった言われかたも、されていたような 気がする……。
1985年の夏だったと思うけれど、私はセカンドアルバムの「STEVE McQUEEN」ってやつを、新宿アルタのCISCOでジャケット買いしたのです。寒空の下、なんだか悶々とした若者4人が壁に飾られ、私を睨んでおりま した。当時はスティングと元ロキシー・ミュージックのブライアン・フェリーの初めてのソロアルバム、12インチで話題が沸騰していたスクリッテイ・ポリッ テイのフルアルバムなどが続々と発売され、嬉しいやらカネがないやらの時期でしたが、でも、なにか惹かれるものがあり、買ってしまったのでした。
その翌年に来日してコンサートがあったのだけれど、私はいけなくて、その後長く「いやほんとによかった」という話をY君から聞かされ続けました。
サードアルバムの「FROM LANGLEY PARK TO MEMPHIS」はいまはなき骨董通りの「パイドパイパー・ハウス」で買いました。当時この店にはプリファブ・スプラウトの所属するキッチンウエア・レー ベルのレコードが充実していて、私はプリファブ各種(12インチ/シングル)の他、マーティン・ステファンソンやフラー!やケーン・ギャングなんていう人 たちのレコードも買いました。(買った話ばかり……、オレは中村うさぎか?)。
プリファブ・スプラウトは、一般的な知名度はそれほどでもありませんが、でもミュージシャン関係にファンが多いみたいです。一昔前のロックの世界だと、ラ イ・クーダーやトッド・ラングレンみたいなポジションを得ているような感じで、ちょっと前の、いわゆる渋谷系のミュージシャンが、インタビュー等でよく名 前を挙げているのを読みました。リーダーのパディ・マクアルーンは、最近ではブライアン・ウイルソン等と比較され、「稀代のメロディメーカー」といった評 価を受けているようです(でも私はいまだ「恋人をバイクの後部座席に乗せて悶々としている若者」のイメージが消えない)。
とにかく、渋谷にくる。
ということで、さっきHMVのWEBをチェックしたけれど、詳しいことはまだよくわかりません。
(19991208)

. ↑で「まだよくわからない」と書きましたが、★SMEのサイトに情報がUPされていました。
いや~、こんなにときめくのはマイ・ブラディ・バレンタイン&ハウス・オブ・ラブのジョイント来日未遂(直前に中止)、ブルー・ナイルの単独来日未遂(直前に中止)以来だ。……、なんか不吉、でも3度目の正直。
そして、「恋人をバイクの後部座席に乗せて悶々としている若者」(「STEVE McQUEEN」のジャケット)を見るなら★プリファブ・スプラウトの公式サイトで「ディスコグラフィー」を選び、縦長四角の「2」をチェック。
(19991209)

ということで先ほど仕事のついでにHMV渋谷にいき予約をしてきました。いや~、夕方のセンター街は、最近異常繁殖している竹馬ヤマンバ、目立ちます。オレを見下ろすな、っつうの。踵、蹴ったろか!
HMV店内は「祝・プリファブ来店」の横断幕/花輪などで歓迎ムード一色、ではなかった。でもサイン会告知のディスプレイはありました。
コーギス(元スタックリッジ)のCDリイシュー盤が2枚、けっこう目立つところに並んでいたりもしました。
(19991209)

そして、よく考えたらサインしてもらったCDは、きっと永久保存盤として眺めるだけのものになるだろうと思い、先ほど「ふだん使い」用の輸入盤を買ってきました。
いやー、ほんとにベストらしいベストなんだけれど、でも私、基本的にベスト盤は好きじゃないんだけどな。むかし入門編に買ったベスト盤って、けっこう人に あげたり売ったりしてます。なんてこと言いつつ、新録音の「カーペット・クロール」1曲のためにジェネシスのベスト盤も買ったりして……。しかし、なぜに サイン会。新作のツアーじゃないのが、なんとも、なんとも。ストーンズだって、まだやってるんだぜ(最後の「ぜ」は鳥井賀句風)。
(19991216)

いよいよ今日だ。
16:30少し過ぎ、HMV渋谷に到着。センター街沿いの入口から店内へ。イベントの告知ボードに「急遽中止」なんて文字がないことを確認し、エスカレー タで3階の「ロック/ブルース」コーナーをめざす。現在のHMV渋谷は、1階が国内音楽&売れ筋(新着)洋楽。2階がダンス・ミュージック系。ロックは3 階。ロックよりダンス・ミュージックのほうが偉くなって、幾歳月。
予約しておいた「38カラット・コレクション」(国内盤/本日発売)をいきなり買うのもためらわれ、フロア内をしばらくうろうろする。輸入盤はそこそこ見 かけるが、国内盤はレジ横の試聴コーナー以外には、あまりディスプレイされていない様子。CDシングル「P」のコーナーにプリファブ関連在庫なし。アナロ グ盤「P」のコーナーにも在庫なし(あたりまえか)。フロアのBGMで唐突にプリファブの「The Sound Of Crying」が流れ出し、気持ちがぐぐっとに高まる。在庫僅かになったコーギスの「The Korgis」「Sticky George」「Dumb Waiters」をひっつかみ、バッグから財布を出し、財布から予約引換券を出し、レジに並ぶ。
短髪&ちょび髭の兄ちゃんが引換券を輪ゴムで留めた「オレの『38カラット・コレクション』」を持ってきて袋に入れるのを目で追う。クレジットカードより やや大きめの紙きれが見える。どうやらこれがトークショー&サイン会の入場券らしい。クレジットカードで支払いをすませ、CD4枚の入ったビニールバッグ を受けとりレジから離れ、さっそく中身をチェック。
あれ? あれ!? 入場券が入ってないんだけれど、ちょっと、大丈夫なのか! もう一度レジで確認しようと思ったが、短髪&ちょび髭は次の客の対応中。レ ジのそばにいた他の店員に事情を話すとすぐに調べてくれて、なんと、短髪&ちょび髭、キャッシャーのそばにオレの入場券を置きっぱなし!! ワレ、いい根 性しとるやんけ、まあ許したるわい。
入場券を財布に入れ、財布をバッグに入れ、会場のある2階フロアの一角をロケハン。会場の手前には入場券が封入された国内盤が何枚かディスプレイされてい る。「もう1枚買おうか」と迷い、やめる。バッグから財布を出し、財布からオレの入場券を出し、18:00スタートだが17:30集合であることを確認す る。腕時計を見ると17:00を過ぎたばかりで、まだ人が並んではいない。入場券を財布に入れ、財布をバッグに入れ、エスカレータで店外に出て煙草を1 本。
ふたたび店内へ。1階をうろうろしてみるがここで「オレの居場所」は見つからない。しっかし「おさるさんみたいな顔したレインボーカラーの女」の新譜がや けに目立つんだけれど、なんでこんなのが売れてるのかな~(詠嘆)、などと感じつつ、けっきょくふたたびエスカレータで3階へ(この行動はちょっと失 敗)。あいかわらず短髪&ちょび髭が忙しそうに働いている。意味もなく「2枚買うと1枚あたりの値段1490円コーナー」を眺めていると、フロアのBGM がふたたびプリファブ、「The King Of Rock 'n' Roll」。腕時計を見ると17:20近くで、もうこんなことしていられない、と決意しエスカレータを早足で降り2階へ。
げげっ、どこから沸いてきたのか、会場のまえにはすでに約50人の群衆が! 列の最後尾に並んだが、さらにぞくぞくと人が集まってくる。
17:30、入場整理係のナビゲートで会場(スタンディング)へ入る。お客さんはみんな行儀よし。ステージ中央(6列目)の場所を確保するが、なんだよ、 もっと早く並んでいればよかったと後悔。ステージでは古いプロモーションビデオが流れている。中央のテーブルにはマイクとボルビックが1本。客層をチェッ クしてみると、
●男が多い(7:3くらいか?)。
●1人できている、って感じが多い(オレも)。
●フード付きの上着が多い(オレも、もうちょっと寒ければダッフルコートだった)。
●リュックorショルダー系バッグが多い(オレはリュック)。
●帽子系、髪の毛が生まれたままの色系、が多い(オレも)。
●すでに買ったCDのビニールを破いていたりする手際のいいやつが多い(オレも)。

なんというか、渋谷というより代々木。予備校「私大文系」コースの授業開始直前、って雰囲気がむんむん。17:50に「トークショー&サイン会の入場は締め切りになりました」のアナウンスが流れる。国内盤、無事完売!?
18:00少しまえに進行役の渡辺亨氏が登場。今回の来日が実現したいきさつを簡単に語る。国内盤発売にあたって「なにかやらなければ」という話をレコー ド会社の担当としていて、それで11月末に7年ぶりにパディに連絡をとって、「日本こない?」と言ってみたら、快諾したので急遽決まったとか。なんだ、 けっこう気さく。続いて「えーと、パディは髭を伸ばし、だいぶルックスが変わっております」と渡辺氏。そして……。
パディ・マクアルーン、ついに登場。
髭、すごかったです。黒(またはダークグレー)のジャケットに青いシャツで登場したパディの顔は、まるで「愛と平和」のベッドインをしていた頃のジョン・レノンのよう。ちょっとショックを受けましたが、私は彼のルックスが好きなのではない。
通訳の女性(とても感じがよい)をまじえ、渡辺氏とパディの会話が約15分。この部分の会話は、まあ、あたりさわりのないもの。というか、パディは今回の 来日で5、6本のインタビューを受けているらしく、おそらく渡辺氏のインタビューもその中に含まれているはずで、より濃い内容のものは、来月以降の音楽誌 が楽しみ(吉本ばななとも対談したらしい)。まあ、結婚してこどもがふたりいるらしいとかの話は、ゴシップ的にはおもしろかったけれど、とにかく「生パ ディ」を見ているのが、なんとも不思議な気分で楽しい。けっこうおしゃべりでフレンドリーな男なんだな、これが。そして、トークショーは、お行儀のよいお 客さんとの質疑応答へ。
最初の人の質問は、
「たしか10年ほどまえに、日本独自企画で、プリファブ・スプラウトのアルバム未収録曲(シングルや12インチのみ収録)のコンピレーションが発売されかけたはずですが、あれはどうなっているのでしょうか?」
といったもの。いきなり、濃いなあ。でも、オレもそういうことが知りたいのです。パディの答えは「僕はそんな話、知らなかった」。質問した人が「出してく ださいよ、リマスターして」と続けて言い、通訳がたぶん正確に訳したらしく、パディは質問の「リマスター」という言葉に反応して、「リマスターをすれば曲 がよくなるってわけではないと思う」とかなんとか(表情は笑顔)……。
そうじゃねえんだよ。オレたち(少なくともオレ)は、今回の「38カラット・コレクション」に入っている曲は、もう、すごい回数オリジナル盤で聞いてる の。もちろんCDシングル、12インチアナログ盤、ブートのライブテープなんかも買いまくって、未収録曲(これが、スバラシイのが多いのだ!)は、一生懸 命ベストテープとかをつくって聞いてるんだってば。そういうのをまとめて聞けるようなのを、出してくれよ。……、出してくれませんか? お願いだか ら~~。
トークショーが終わり、いよいよサイン会。しかし、いい年した男(オレ)がいい年した男(パディ)にサインしてもらうのにこんなにドキドキして、どうする?
行儀よく待つこと20分。あと4、5人でオレの番。BGMはオレの大好きな「恋人をバイクの後部座席に乗せて悶々としている若者」ジャケットのアルバムの A面2曲目「Bonny」。この曲、むかし海にいった帰りのクルマでよく聞いた。火照った身体にエアコンから冷たい風、助手席に座っていたのは○○。この 曲のイントロはサウンドファイルにして、いまのパソコンの時報の音にしている。「Bonny」が終わって、目の前に生パディ。BGMは「Moving The River」……。
「こんちは」(オレ)
「こんちは」(パディ)

CDのジャケットを差し出すと、さらさらと、Paddy MAC

「またきてね、音楽を演奏しに」(オレ)
「OK、次にくるときは(以後英語が聞きとれず)」(パディ)

「さよなら」(オレ)
「さよなら」(パディ)

ジャケットを受けとり、一歩足を踏み出すオレ。思い直し、振り返って、
「また会おう!」(オレ)
あっ、パディ、もう次の人のサインに夢中……。

(19991218)

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「犬は吠えるがキャラバンは進む」で新説
私は小沢健二が好きなのですが、それは私が元渋谷系の男だからではもちろんなく、また、いわゆる「オザケン」という人に興味があるからでもなく、ただただひたすら「犬は吠えるがキャラバンは進む」「LIFE」という2枚のアルバムをほんとうによく聴いたからです。
一時のオザケンフィーバー(!)もすっかりベタ凪になりましたが(米国のモータウンと契約したとかって話はどうなっているのだろうか?)、ちょっとまえにひさしぶりに「犬」を引っぱり出して聴いてみて、いままたヘヴィーローテーションです。
他の曲も好きなのですが、私にとってこのアルバムは、7曲目の「天使たちのシーン」。13分31秒というオキテ破りの長さのこの曲をゆらゆらと聞いて盛り上がるのが心地よいです。
「天使たちのシーン」の曲中、とくに好きな部分が2カ所あります。ひとつは05分02秒前後の歌詞の「スティーリー・ダン」という言葉の響き。そしてもうひとつは、10分02秒前後の「カモン!」というかけ声の気合いの入り加減と、それに続くギターソロです。
しかしオザケン、曲のキモの場所を05分02秒と10分02秒でそろえたのか!?
05分02秒の「スティーリー・ダン」は、まるっきり「Steely Dan」には聞こえない。「すてぃぃりぃいだ~ん」ってなへなへなで、これを「歌が下手」と言ってしまえば簡単なのだが、そんな一筋縄でいくものではない でしょう。私の胸にはここが、ぐさっとぶっささる(歌詞の風景が鮮やかに見えました)。
そして、曲はまるでオーティス・レディングの「Try A Little Tenderness」(の上田正樹とサウス・トゥ・サウスのカバー)のようにじわじわと熱く盛り上がり、10分02秒のまたもやへなへなな「カモン!」 (これも胸にぶっささる)を経て、もしも「天使たちのシーン」をロックと呼んでいいなら、「ロック史上再軟弱」とでも言いたくなる、手がしもやけのエリッ ク・ゲイルのようなオザケンリードギターに突入するのですが、このソロが、また、かっこいいんだ。
この「カモン!」に続くリードギターは、たとえばポール・コゾフが弾いてもゲイリー・ムーアが弾いてもランディ・ローズが弾いてもリッチー・コッツエンが 弾いてもエリック・クラプトンが弾いても、もちろん松木恒秀やエリック・ゲイルが弾いてもだめだと思います。この「代えのきかなさ」は、なんか、ローリン グストーンズでここぞとばかり「代えのきかない」ソロを聞かせるキース・リチャードに通じるものがあります。そういやボーカルの「代えのきかない」感じ も、キースに似ているような気がしてきたぞ。
小沢健二=キース・リチャード説。
私はなぜか、小沢健二に関しては「○○は●●のパクリ」というようなことが、B'z(いろいろ引き合いに出してスマン)とちがってほとんど気にならないの です。「犬」2曲目の「天気読み」なんて、最初に聞いたときには、スティービー・ワンダーの「INNERVISIONS」に入っている「Don'T You Worry 'bout A Thing」のカバーをやっているのかと思ったけれど、でも大好きだし。
「犬」3曲目の「暗闇から手を伸ばせ」はむかし「マジカル頭脳パワー」のエンディングテーマ曲だった。
(19991210)



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苦手なクラプトンを観る
ちょっとまえにWOWOWの無料放送があって、そのとき録画した「エリック・クラプトン&フレンズ・イン・コンサート」というのをいま観ているのですが、 あー、退屈なんで、字を書き出しちゃった(ちょっとまえにポール・モーリア・オーケストラ演奏みたいな「愛しのレイラ」が終わりまして、いま、志村けんみ たいな顔のボブ・ディランが出てきて歌ってます)。
私は「Change The World」のCDシングルしか新譜で買ったことのないクラプトン音痴です。中古アナログレコードなら、何枚か買いましたが、でもほとんど聞かなかった (「Let It Rain」って曲だけは好きでした)。あと、デュアン・オールマンやスティーブ・ウィンウッドを聞きたくてCDを買ったら、たまたまギターがクラプトン だった(こーゆー書き方!)ってことは、ありましたけれど。
知り合いにクラプトン好きが多いです。そういう人は、たいがい私よりギターがうまいです。歌もうまい。ですので、私がなにを言っても「なんだかなー」って気分なのですが、でも、クラプトン、とくに最近のクラプトンって、どこがいいんだか全然わからない。
コンサートが始まってすぐ、うわっ、ゴッ、ゴッ、ゴージャス! と思いました。なんか、むかし日本でよくやっていたジャズ・フェスティバルみたいだ(う そ、ほんとは「なんか森繁の誕生パーティみたいじゃん」)と悪態をついて観ています。1曲1曲が、やけに長いなー。なんで出てくるやつらがみんなにこにこ 楽しそうにしているんだ。あー、いらいらいらいら。途中に出てきたメアリー・J・ブライジの歌は、ちょっとよかったかも。
あっ、「サンシャインなんとか」(曲名もちゃんと覚えていない)が終わって、クラプトン氏ご満悦の表情。「エリック・クラプトン&フレンズ・イン・コンサート」、これにて終了ですか。
今日観た「ギターの神様」の音楽は、私にはムード歌謡にしか思えませんでした。いや、ギター弾きとしてのクラプトンに、かっこいいな、と思った瞬間が、ないわけでもなかったのですが。
退屈~。
(19991212)



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チャー・ボガート&アピスと、クラプトンでまた怒られた
12月25日に武道館でおこなわれたチャー・ボガート&アピスのコンサートに、大学の先輩木原さんと、同期の吉川くんといってきました。
チャーは、いわゆる日本のギタリストのチャーですな。ったく私の知り合いの中には「ああ、あの『気絶するほど悩ましい』の人ね」と、城みちるや荒川努やル ネと同じようにしか認識していない老人がいるやも知れず、ジョーダンじゃないっすよ。ずっと現役一本槍、現役バリバリのギター渡世人です。噂によると、最 近J-WAVEかなにかに出演して、DJ(パーソナリティっていうのか?)から「今日のゲストは『気絶するほど悩ましい』のチャーさんです」とか紹介され て、「おまえ、なめんじゃねえぞ」と怒ったそうじゃないですか。いい話だ。
そしてティム・ボガート(Bass)とカーマイン・アピス(Drums)は、元ヴァニラ・ファッジ~カクタスの強力な(ドタバタうるさい)リズム隊、って いうか、ジェフ・ベックと「クリーム以来最強のトリオ」と呼ばれたBeck Bogert & Appiceで一緒だった2人。今回のコンサートは、まあ、いろいろ複雑だけれど、とにかく、ジェフ・ベックの代わりにチャーが入って双方の名曲を演奏し てみるプロジェクト、と言っていいと思います。
Beck Bogert & Appiceにはスタジオ盤が1枚、そして、来日したときの演奏が聞ける2枚組のライブ盤(1973年の大阪厚生年金会館での音源/このツアーでは武道館 でもライブをやっている)があり、私は高校生の頃、このライブ盤をよく聞いた。内山くんがマクセルの黄色い90分テープに録音してくれたのを、しょっちゅ う聞いていた。内山くんのくれたカセットテープのケースには「このよさがわからなかったら女もギターも捨ててさっさと死ぬこと」とのメッセージが書いて あった。LL教室(いまはあるのかどうか知らないけれど、英語のヒアリング&スピーチの授業)でも教材のカセットをはずして聞いていて、それが先生にばれ て、先生の「なにやってんだ!」って声が「Loose Myself With You」のボガートのソロの途中に録音されてしまって悔しかったのを、まだ覚えています。
そういうボガートとアピスがチャーと一緒にやった今回のコンサートですが、いや、コンサートは最高に盛り上がりましたが(だってマクセルのカセットテープそっくりの演奏が聞けたから)、でも、複雑な気分でもあります。思ったことは、
1.ロックを聴き始めて四半世紀。あらためて、日米ロック体力格差を感じた。もう、すごい演奏でやられっぱなしだったんだが、でも、もしギターがチャー じゃなくてジェフ・ベックだったら、オレは死んでいたかもしれない。ステージからカーマイン・アピスが「オレたちがこのまえここ(武道館)で演ったとき、 チャーは会場で見ていたらしいぜ」と言ったけれど、あんたら、そうとうのトシ ですよ。体力だけじゃなくて、年齢格差もある。そして、ジェフ・ベックは、こんなすごいおっさん2人ととうのむかしに別れて、いまもギター1本抱えて渡世 人している。
2.チャーは10代から「ロックやるなら、外人と組みたい」と考えていた人だから、今回のプロジェクトは「一度お手合わせしたかった」って感じなのかもし れない。じっさい、チャーのナンバーを演奏すると、これがすごい迫力なんだ(雑だけど……)。でも、これを見せられてしまうと、では、あのジョニー,ルイ ス&チャーやピンク・クラウドで磨き上げた、日本の風流を感じさせるトリオの味は、なんだったのか、みたいな。
等々。
でもなー、私はチャーに対して、あまり客観的になれないところがあるのです。っていうか、なりたくない。ある種の男たちが「永ちゃん」に対して感じるも の、みたいなことを、私はチャー(とくにギタリストとしてのチャー)に感じているから。そういえば「世界の矢沢」がむかしチャーに「おまえを俺のところで 使ってやるぜ」と言ったとかで、チャーは丁重にお断りしたとか。いい話だ(そのくせLOVE×2とかに出ちゃう腰の軽さが、またいい)。芸能的なことは、 チャーがギターを弾くと、どこかに飛んでいきます。
そしてそして、今回のコンサートに一緒にいった木原さんは、スモーキー・メディソン時代のチャーをライブで体験していた、日本ロックの語り部。ギターを持 つとちょいちょいとチューニングを変え(ダッドガッド/D・A・D・G・A・Dチューニングっていうらしい)、レッド・ツェッペリンの「BLACK MOUNTAIN SIDE」を弾きながら「これってジミー・ペイジ、古い曲をパクッてるんだよねー、あはは」なんて笑う人ですが、この木原さんに、帰りの飲み屋で「クラプ トンはダメだ」と悪態をついていたら、「クラプトンのすごさはクリームを聴いてもわからない。あれはジャック・ブルースのバンドだから。クラプトンを知り たければブルース・ブレイカーズを聴け」と怒られました。
ブ、ブルース・ブレイカーズなんて、聴いたことないよ。このまえNHKの山埼まさよしの番組に影響されてロバート・ジョンソンを買ったら、お経にしか聞こえなかったし。
(19991228)



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1990年代の10枚/洋楽編
そんじゃ今年は「無人島に持っていく10枚/洋楽編」もやってみようか、と思ってみたりもしてはいるのですが、だが、しかし、私が現在所有しているアナロ グ盤+CDにおける「邦楽/洋楽」比率は、正確にはわからないけれど、おそらく「1対9」くらいであろうと思われ、ということは、
邦楽ですらまだ決められないものを、
洋楽で、そう簡単に決められるわけないじゃないか!
と、ひとりで興奮してどうする!?
「無人島に持っていく10枚/洋楽編」などというものは、じつは無人島に出発する直前まで決められないのではないか。あるいは、無人島での暮らしなんて、 大好きなピーター・ガブリエルのソロアルバムだけ持っていけばことたりてしまうかもしれない。いや、オレは無人島にいくくらいなら死んだほうがました。
えー、いろいろ意味不明なことを書き綴っていますが、つまり、「『無人島に持っていく10枚』がいまだに決められない」からこそ、あいかわらず音楽を聞き 続けているということなのかもしれない、などとも考えております。そんなものが決まっちゃったら、だって、ゲームオーバーじゃん(^o^)。
とはいえ、今年はちょうど1990年代の締めの年でもあります。それならば、いっちょ「無人島」セレクションの前段階として、まず、この10年の洋楽ベス ト10なんてものの選定に着手してみよう、と。リミットは今年年末でありますゆえ、まあ、のんびり、随時更新しながら、いちおうの結論まで辿り着いてみた い、と思っています。
1980年代までは、そのときどきの旬なお気に入りミュージシャンを見つけてこられた私ではあります。だが、この10年は、さすがに「(主流派の)若い人 のロック」と距離ができてしまいましたなあ。具体的には、オアシス、ジャミロクアイ、ベックという人気者たちの音楽で「転んで」しまったような気がしてい ます。いや、持っていたりはするし、とくに嫌いというわけでもないのですが、でも正直言って「そんなに誉められるほどのものなんですか~?」という気持ち は、どこかにあるな。
とはいえ、
マイ・ブラディ・ヴァレンタイン、ジェイソン・フォークナー、ダイナソーjr、ミッシェル・ンデゲオチェロ、ジム・オルーク、イール、ビョーク、キング・ミサイル、チョコレートUSA、スーパー・ファーリー・アニマルズetc.
(このなかには、名前をいまテキスト化しておかないと記憶の窪みに落ち込んでしまいそうなのも入っていたり……)
といった私的ニュー・カマーの音楽はすごく気に入っているし、
私的ベテランのものでも、
……、オレはジミー・ペイジ&ロバート・プラントのライブ盤のほう(アルバムタイトルは「No Quarter」)だけは、だれがなんと言っても誉めるぞ、2曲目に入っている「Thank You」での、あのボロボロでひどいリードギターには、心を動かされた、って、ほとんどやけくそ、もう1枚出たスタジオ盤は、あっ、最近は全然聞いていな い……、
ありゃりゃ、ジミー・ペイジでつい興奮してしまったのですが、この文章、↑のほうの「とはいえ、」からまだ続いているんですね、では仕切り直し。
むかしから好きなミュージシャンの1990年代の作品は、まあ、そもそもの期待値が高いこともありますが、どれも、もうひとつおもしろくなかったなあ。
ピーター・ガブリエルの「Us」は、たまらなく好きな曲も入っていたものの、約半分は前作の焼き直しみたいで、なんだかなあ。しかしこれ、1992年の作品だよ、もう! おっさん、早く新しいの出さないと、名球会入りだぞ!!
スティング、プリンス、トッド・ラングレン、ブルース・スプリングスティーン、mmm。
プリファブ・スプラウトの「アンドロメダ・ハイツ」は、彼等のアルバムの中で一番つまらないものだと思った。待たせたくせに、ちっ。TENSAWの「It's OK」はよかった、って、これは邦楽だし~(^^;。
というわけで、すでにボヤくばかり、混乱は深まるばかり。だいたい、1991年の作品と2000年の作品を同一線上で比較することになんの意味があるのか?
そして、じつは私はいまから約10年まえに、某媒体で「1980年代のベスト10」発表なんてことをしていていたのを思い出したりしました。ええと「約 10年まえ」ってことは、つまり1989年末の段階で「1980年代のベスト10」選びをやったわけで、これはいったいなんだったのだろう? でもまあ、 楽しく自由な雰囲気のある媒体でしたので、そういえば、当時お世話になったSK女史、お元気ですか? 古いファイルをがさごそやってみたら、出てきました ぜ、当時の紙面の切り抜きが。
おー、選者には「LINK」部屋つながりの中野純さん(「女声」をテーマに選んでいる)と矢吹洋一さん(「超ロマンティック」をテーマに選んでいる)の名 前も、あるではないですか! ならば、約10年まえに書いた自分(「僕」と名乗って「素直」をテーマに選んでいやがんの、芸がないヤツ……)の文章、当 時、原稿用紙に書いてFAXしたっきり散逸したものを、いまになって、オレがテキスト化してやりましょう。これは、なかなか恥ずかしい体験。
1.「プラスティックの中の未来」(1980年)/THE BUGGLES
2.「STEVE McQUEEN」(1985年,輸入盤)/PREFAB SPROUT
3.「Cupid & Psyche 85」(1985年,輸入盤)/SCRITTI POLITTI
4.「ラーセン=フェイトン・バンド」(1980年)/LARSEN=FEITEN BAND
5.「FLASH LIGHT」(1987年,輸入盤)/TOM VERLAINE
6.「PORCUPINE」(1983年,輸入盤)/ECHO & THE BUNNYMEN
7.「Eden aLLEy」(1988年,輸入盤)/TIMBUCK 3
8.「a secret wish」(1984年,輸入盤)/PROPAGANDA
9.「VIRGINS & PHILSTINES」(1985年,輸入盤)/THE COLOUR FIELD
10.「solitude standing」(1987年,輸入盤)/SUZANNE VEGA

 わりと素直に選んだ。特に1~4は順位すら悩まなかった。1と4を国内盤で所有しているのも、まだ自分が学生で、今みたいに輸入盤めぐりをしていなかっ たことの記録。感慨深いです。5以下は聴いた頻度とかミュージシャンへの愛着というより、とにかく最初に出会ったときのインパクトが強かった。心を、体を 動かされました。5、7、10はコンサートに行ってしまったし、8は部屋で1人タコ踊りをしたし、6を聴いたときには時には思わずギターの弦を久々に張り 替えさせられてしまったし、9は、泣けた(CD化!)。まっ、軟弱です。
 もちろんここに選んだ以外にも愛聴盤はあった。ブルース・スプリングスティーンの「Born IN THE U.S.A.」とか…。でもその筋の人たちは、もはや僕にとって存在が価値。
 楽しかった学生時代へのオマージュで大瀧『ロン・バケ』、80年代最後の目からウロコで『服部』を入れようと、真剣に悩みました。あと、さのもとはるだいっきらい。

ふーん。
細かいセルフツッコミを端々に入れてやりたいものの、まあ、おおかた素直ではあります。「1と4を国内盤で所有しているのも、まだ自分が学生で、今みたい に輸入盤めぐりをしていなかったことの記録」なんてごちゃごちゃ書いていますが、これは、ほんとうに日本盤で買ったのだけれど、「でも、正確に考えると 1979年の音楽だしな」と悩んだ痕跡。いまとなってしまえば、そもそも1980年発売のものは1970年代ベスト10に入れるべきなんだが、そこは「楽 しく自由な雰囲気のある媒体」だったってことで、まっ、いいか。なにしろこの2枚が「僕」ちゃんにとって、1980年代の始まりを実感させたことはたしか だったし。ティムバック3とプロパガンダは、いまいずこ。部屋で「1人タコ踊り」をするクセはいまだに直らず。カラー・フィールドは、ごく最近「1980 年代の隠れた名盤」的な扱いでレコード屋さんのディスプレイコーナーを飾っていますが、過去一度CD化されたときに、六本木WAVEで買っておったなあ。 そうか、スプリングスティーンは1989年の時点で「存在が価値」ですか! 「その筋」って、なんのことやら……。「ロン・バケ」のあつかいにはいつも悩 んでいるし~。
そして、嫌いなミュージシャンをひらがなで表記する悪いクセは、すでにこのころから始まっていたことに自分で驚いてどうする!?  あー、くらぷとん。
ってなことやってて、ちっともまえに進まない「1990年代の10枚/洋楽編 」ですが、でもまだ時間はたっぷりありますので、こんな調子で脱線しながら、のんびり続けます。究極の自己満足企画だな、これ。
(20000116)


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スペース・ポンチを勝手に聞いてみた
最近のお気に入りのCDのひとつがスペース・ポンチの「THE WORLD SHOPPING WITH SPACE PONCH」です。このアルバムには、私が「一緒におでんやたこ焼きを食べた」ことのある岸野雄一さんとミントリーさん(岡村みどりさん/「LINK」部 屋参照)が参加しています。とてもよい音楽だと私は思います。
私は、いわゆる音楽評論家や音楽ライターではなく、たんに「自分の好きな音楽を聞くのが好きな男」なので、知り合いがつくったり参加したりした音楽を聞く まえには、少しドキドキします。ごく単純に、もし嫌いな音楽だったらどうしよう!? ってことなのですが、mmm、このへんについては、とりあえず、過去 に、自分の知り合いが関わった音楽で「どこも好きになれなかった」ものがあったことは、確かなのさ。ええと、『ミュージック・マガジン』2000年1月号 /「クロス・レヴュー」欄のソウル・フラワー・ユニオン「ハイ・タイド・アンド・ムーンライト・バッシュ・ベストライブ1999」では4人の評論家の意見 が割れていて、健全だと思った、と世間話に逃げたりしながら、でも、なんで逃げているんだオレ、ってことで……。
とにかく、知り合いの関わった音楽であっても「おもしろいところが、全然見つからなかった」場合には、私は、音楽的には沈黙します。
さて「THE WORLD SHOPPING WITH SPACE PONCH」ですが、これは、ロックと呼んでいいのだろうか? よくわかんねえぞ。とにかく、モンド/ラウンジ系やジャック・タチの映画音楽をほとんど体 験していない私は、まあ、プログレやテクノポップの進化系のロックとして聞いちゃった。あと、子どものころ好きだった海外アニメ(「トムとジェリー」 etc.)のサントラ(!?)のようにも聞こえて、懐かしかったり。
いずれにしても、スペース・ポンチの音楽は豊か。メンバーは高円寺にあるレコードショップ「マニュアル・オブ・エラーズ」関係の人々ですが、いつか、それぞれのレコード棚も見てみたい、という感じです。ということで、以下、勝手にレヴュー。
01.「BAREFOOT IN BALTIMORE」のイントロ、すごくかっこいい。最初の20秒くらいのゴー、ジャリジャリってのから、リズムボックスがポコポコ鳴り出し、きれいなメ ロディが聞こえてきて、ボコーダーに導かれていく展開、ゾクッときます。ロックばかり聞いて育った私は、この最初の約20秒がなかったら、アルバムにずい ぶんちがう印象を受けていたと思う。なんか、この始まりかた、ローリング・ストーンズの「LOVE YOU LIVE」のアタマを思い出させました。
01.~07.までの流れは、ミントリーのオリジナル曲が効いている。せっかくの甘いムードをぶっこわすような02.「RAYMINT SCOT」や04.「KINGA CREW」は Y.M.O.の「Solid State Survivor」のA面2曲目に入っていた「ABSOLUTE EGO DANCE」みたいにキモの曲だと思った。
「Solid State Survivor」がポップで聞きやすいアルバムなのに、でもエッジが立っていたのは、A面1曲目「TECNOPOLIS」から、そうはやすやすと3曲目「RYDEEN」に連れていってくれなかったからだなあ、なんてことを思い出した。
02.「RAYMINT SCOT」は、ベースの出ばり具合と引き具合の妙がかっこいい。
05.「GMW」は、矢野顕子のデビューアルバムに「丘を越えて」が素知らぬ顔して収まっていたことを連想させる、日本の古い曲(らしい)。私は原曲を知らないが、どう生きるとこういう曲を選んでくるセンスが身につく!?
06.「DEBARD」には一瞬キース・エマーソンの気配がした。
07.「HOW TO MUDER YOUR WIFE」は、岸野雄一のソロ・プロジェクトである「ヒゲの未亡人」のコンサートでも、聞いた記憶がある美しい曲。
08.「TATI SUITE INCLUDING:AFTER THE FOX,TRAFFIC,PLAY TIME」はジャック・タチの映画音楽をアレンジしたメドレーらしいのだが、このへんのストイックなおしゃれセンスは、オレには解説不可能。 web@yoichiの制作に協力してくれたイラストレーターの山口マナビさんなどは「タチのメドレーがすごい!」と絶賛しておりましたが、きっとオレよ りもうまく、魅力を解説できる人がいるのだろうなあ。あっ、聞いていて全然イヤではないんですが。
09.「TENGS OF THUGS」は、おー、スペースロック!
最近のアルバムでテクノにめちゃくちゃなフレーズをぶち込んでいたジェフ・ベックに、リードギターを弾かせたらおもしろいかも、などと思った。エンディングのヘンさもすごく好き。
10.「PHEASANTS」は 、おー、スペースファンク!
1回目に聞いたときに、一番インパクトのあった曲。ダンスチャート用に12インチシングルを切って欲しい感じ。でも、マリンバみたいな音に、一瞬ジェント ル・ジャイアントの気配がしたり、ンデンデンデンっていうピアノの不協和音のアクセントが一筋縄でいかなかったりで、アメリカのやわなヒップホップ兄ちゃ んじゃ、踊りそこねて骨折するかも。
11.「THE WORLD SHOPPING WITH SPACE PONCH」は1991年~1993年のスペース・ポンチのライブ音源をエディットしたもののようで、当時のシーンを知らない私には、やや冗漫に感じられ たけれど、でも後半になって聞こえてくる岸野雄一の「ヘンな煽りトーク」がおかしい。
そして、ノスタルジックなイントロで始まる12.「GREAT BUDDA AIRMAIL」は、ホトケサマの聞き取り不可なメッセージを撒き散らしながら、甘きに流れることなく終わってしまった。ちょっと放り出されたような気分 が残り、またアルバム1曲目のゴー、ジャリジャリに戻りたくなりました。
★「THE WORLD SHOPPING WITH SPACE PONCH」
TFCC-87624/TRANSONIC RECORDS
に関する情報は、まず、
マニュアル・オブ・エラーズへGO!
(20000118)



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30年経って出会ったジュディ・シル
とくに目的もなくレコード屋の店内をうろうろしていると、ときどきB.G.M.に「呼ばれる」ことがあります。
昨日の私はHMV渋谷3階フロアにいて、再発されたバグルズの「ラジオ・スターの悲劇」のCDシングルを手にとったりエサ箱に戻したり、ついに見つけたブ ルース・ウーリー&ザ・カメラクラブの「イングリッシュ・ガーデン」のCDを握りしめて密かに喜んでいたり、は、していたのですが、でも、まあ、 そもそもなにか買いたいものがあって寄ったわけでもなく……、と、なんだかゆるい時間を過ごしていました。でも、こういうときって、経験からいくと、けっ こう呼ばれやすいの、かもしれないな。
昨日の呼ばれかたは強烈でした。ちょっと鼻にかかった、不安定なビブラートが気になる女の声。ピアノの弾き語り部分でもう引っかかり、サビのメロディを聞き終えたときには「これはもう買うしかない」と決心。カウンターに足が向かいました。
店員に尋ねると「ジュディ・シル」。知らねえ。そんな名前、いままで聞いたことない。ジャケット写真を瞼に焼きつけ「J」のコーナーへ向かうと、いまし た、その、ジュディ・シル(Judee Sill)が。「名盤探検隊」「世界初CD化」という帯の売り文句が、丸眼鏡をかけた女性の横に目立ちます。
買って大正解でした。私が呼ばれたのは、彼女のファースト・アルバム「ジュディ・シル」に収録されている「ジーザス・ワズ・クロス・メイカー」という曲。ライナーを読むと、彼女に関する情報は非常に少ないようです。
1946年(あるいは1949年)にカリフォルニア州で生まれた。
1971年にファースト・アルバム、1973年にセカンドアルバム「ハート・フード」(Heart Food)を出した。
1979年にサード・アルバムを出したという話はある。タイトルは「チューリップ・フロム・アムステルダム」らしい。
彼女は1979年にメキシコで死んだらしい。
ジョニ・ミッチェルに続く女性シンガー・ソングライターとして期待されていたが、セールスはかんばしくなかった。
インターネットのサーチエンジンで名前を検索しても、カタログデータ的なもの以外は、ほとんどヒットしない(ジャケット写真もない)。
そんな人に新年早々呼ばれてしまったオレは、幸せなのか?
しかし「ジーザス・ワズ・クロス・メイカー」が私に出した電波は、強かったぞ。たまたま聞く機会がいままでなかっただけで、10年前でも、20年前でも、 もし耳まで届いていれば、オレは同じ反応をしたと思う。この曲はデビュー・アルバムからの第1弾シングルカットだったそうで、とにかく、30年まえに彼女 が発した音楽を、私はしっかり受けとりました。
うちのCD棚では、
ローラ・ニーロの「NEW YORK TENDABERRY」のわりと近く、キャロル・キングやヴァレリー・カーターともそう遠くはないが、カーリー・サイモンとはかなり遠く、スティー ヴィー・ニックスだとさらにずっと遠く、ならばいっそのことトッド・ラングレンの「The ballad of ~」の横に置いてみたい気もするが、それでは棚が混乱するのでそうはできず、そして、1段下にはスザンヌ・ヴェガやエディ・ブリケルの初期作品が並んでい ることも可能で、さらにもう1段下には、フィオナ・アップルは置いてもよさそうだけれど、アラニス・モリセットだと、うーん、一番端っこならまあいいか、 シェリル・クロウは、あっ、持ってねえや、まらいあきゃり~は、あれは、そもそも同じ店で売るな!
という位置を押さえそうな予定。
ほんとうは音についてもいろいろ書いてみたいのですが、なんか、とってもヤボな気がするのでやめておきます。
JUDEE SILL
「ジュディ・シル」(AMCY6064)
「ハート・フード」(AMCY6065)
EASTWEST JAPAN
1999.11.25発売 各\2,100
(20000120)



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国内ミュージシャンの新譜CDは、高いのか? &椎名林檎
なんとも洋専体質な私ですが、でも国内ミュージシャンにも好きな人、関心があり聴いてみたいと思う人、けっこういます。いまは、椎名林檎のアルバムをちゃんと聴いてみたい。なんだよ、あのムカツく小娘は! 気になり続けてもう1年以上。
私と椎名林檎の出会いを阻んでいるのは、おカネ。カネにものをいわせて小娘を手に入れるというのは、なんだかなあ……、じゃねえや。
いや、でもほんと、あんな小娘のCDが3000円とかして、スティングさまやデヴィッド・ボウイさまの新譜がその半値近いプライス(大手レコード店での輸 入盤価格)だっていうのは、私は、もう、ずっと、おかしいなあと思い続けているのです。もし椎名林檎のファースト・アルバムが1580円だったら、絶対 に、もう聴いてるよ。これは、理屈ではなくて、感覚的に受け入れられないことなのだなあ。
「国内ミュージシャンの新譜CDは一律3000円前後」という値段がほんとうに高いものなのか、それとも、むしろ安いものなのか、じつは、私にはよくわか りません。それは「CMに永瀬正敏を起用して、音楽にスティーヴィー・ワンダーを使って、大量の広告を打っている缶コーヒーの小売り価格」が、ほんとうに 適正なものなのかどうかよくわからない、ということと同じなのだと思います。
ところで、缶コーヒーって、いま1本いくら?
120円くらい?
ずいぶん長いこと、飲んでないなあ。
まあ、いまの日本は「缶コーヒーはそのくらいのプライス設定を基準に」ってことで経済がまわっているのだろう、という具合に理解はしておるのですが。 しかし、缶コーヒー1本の原材料コストって、いくら? 広告宣伝費や流通のチャネルをドラスティックに変化させると、缶コーヒー1本の小売り価格は70円 になるものなのか? それとも250円になっちゃったりするものなのか? こういうことはボストンコンサルティングのおじさんならわかるのか? 堺屋太一 はわかっているのか? ああオレは経済学部経済学科卒。
缶コーヒーの話は、置いておいて。
ええと、そして、どりかむやこむろやすぴーどが嫌いな私ですが、でも、彼&彼女たちが大量にさばける「一律3000円前後の新譜CD」をつぎつぎと出して くれるおかげで、その利益のおかげで、私の好きな「あまり売れない国内外のミュージシャン」のCDが発売されていたりするのかもしれず、mmm、ますます わからん。
たとえば「レンタルビデオ屋での日本映画と外国映画のレンタル料金が倍近くちがう」みたいな、そんな感覚を、私はずっと持ち続けています。いや、単純に比 較できることじゃないし、そもそもレンタルビデオ屋の外国映画は日本で発売された字幕入りなのだから、比較するなら「国内盤の洋楽」とだ、ってこともある だろうけれど、でも、でも、なんかなー。オレは日本映画も好きだけれど、でももしほんとうに料金が倍もちがっていたら、まちがいなく、外国映画を2本借り るし。
とにかく、経済的なことをわかっていないオレが無理していろいろ考えても、だめなんでしょう。
えっ?
プラザ合意以降の円とドルの関係についても考慮しろ?
もう、白旗。
なに書いているんだかも、よくわからなくなってきたし……。
それでも、それにしても、「おらが国でしか通用しないパチモン音楽のCD」が、3000円とかで偉そうにディスプレィされているのを見たりすると、ムカツく~~。
だれか頭のいい人、国内ミュージシャンの新譜CDは高いものなのかどうか、ばしっと教えてください。納得できたら、明日、小娘のCD買いにいくから。
(20000201)
【付記】
と、ひとしきり国内ミュージシャンのCDの値段に文句を書いたら、気分がスッキリ。けっきょく椎名林檎の「無罪モラトリアム」と「本能」と「ギブス」を新品で買ってきました。
スティングさまやデヴィッド・ボウイさまの新譜より、ずっとよいです。彼女の個性とサウンドの高品質さがせめぎあって、「いま聞かなきゃ」って感じの緊張 感を出しているのかな。あーあ、1年前からリアルタイムで追っかけたかった(こういう後悔は過去にも多数……)。1000円ちょっとのカネをケチって失敗 だ。
(20000204)


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最近の『ミュージック・マガジン』がヘン!?
大事な音楽情報源として約20年、ほぼ発売日に買っている『ミュージック・マガジン』(MM)なんですが、どうも、最近ヘンです。ええと、個人的には「ヘ ンであること」について、けっこう面白がっているのですが、でも、とにかくヘンはヘン。現在の編集長・高橋修氏の路線がいろいろと波紋を呼んでいるみたい で、誌面からときどきノイズが聞こえてくる、ここ半年強(くらいだと思う……)。
小室哲哉やつんくのインタビューが載っていたり、長くコラムを担当していたライターが「最近のこの雑誌の方向性にはついていけない」と書いてやめちゃった り、まあその他にもずいぶん「らしくない記事だなあ」というものが載っていたりで、古くからのMM読者はとまどっているのか、面白がっているのか(私は後 者です)。
来月号の予告には「特集:ヒット!ヒット!ヒット!ー正面から語れ!日本でヒットしている曲を音楽的に斬る!+ヒットチャート上位10アーティスト徹底分 析+世間に蔓延する19~ゆず系+メロコア人気を考えるほか」って、なんだMM、ついに宝島社の『音楽誌が書かないJポップ批評』路線か~~!?
でも『ミュージック・マガジン』って、むかしからその時代に勢いのある音楽に絡んだり、ライター同志が火花散らしていたりするのが魅力だったりもするの で、高橋修編集長の路線は、興味津々。いつだったか、自らの編集後記で「みんな最近の『ミュージック・マガジン』にいろいろ意見があるみたいだけど、いま の編集長はオレだ~」みたいなことを書いていて、おー、本気だ、と思いました。
15年くらいまえの『ミュージック・マガジン』の記事に「『ミュージック・マガジン』を読んでいるようなやつ」といったものがありました。えのきどいちろ うさんが銀座の旭屋書店(だったと思う)に張り込んでMMを買った人を追跡し、「あなた、いま『ミュージック・マガジン』を買いましたね。いろいろお聞き したいのですが……」とデータを取って集計したもの。その号がもう手元にないので確認できませんが、たしか、「いつ頃から読んでますか?」という質問に 「創刊号から」(たぶん1969年創刊)と答えた人が異常に多かったり、あと「あなたはレコードを何枚持ってますか?」という質問の答えの平均が、450 枚前後だったような……。1980年代半ばで450枚っていうのは、まあ、多いのかな。その後の円高、CDの普及を考えると、現在なら1000枚くらいの 感じでしょうか??
とにかく歴史のある『ミュージック・マガジン』。私の知り合いにも愛読者(本棚に創刊号からのバックナンバーがずらり)がいるのですが、たまに会って音楽 談義をしていると「●●さん、それはいかにも『ミュージック・マガジン』に書いてありそうな意見ですよ」なんてギャグになったりするくらい、論調にクセが あることはあります。でも読んじゃう。「それはちがうだろー」とか「もっと言ってくれー」とか思いながら。
なんだかんだ言っても、けっきょく『ミュージック・マガジン』の誌面は騒がしいほうがいいです。腰を据えてミュージシャンを検証する特集は、最近は『レ コード・コレクターズ』や『ストレンジ・デイズ』くらいの量がないと、満足いかないし~。いや私、自分はマニアやコレクターじゃないと思っているんです が。
(20000218)


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CDでTOTO体験。かっこ悪い~~!
「中古屋に転がっていたら、いつか聞こう」とずっと思っていたTOTOの1st&2ndのCDを、ようやく発見。なにしろアナログ盤も中古で買ったくらい にしか愛着のないバンドなんですが、とにかく久しぶりに聞いてみて、こんなにかっこ悪かったのかと、けっこう感動しています。
とにかく、1stの1曲目のイントロからかっこ悪い。なんじゃこりゃ。続いて、ピアノかっこ悪い、シンセの音もフレーズもかっこ悪い、ぎゃー、ギター、かっこ悪り~。
だいたいバンド名がかっこ悪い。
ジャケットもかっこ悪い。
3曲目の「Geogy Porgy」でやっと持ち直しましたが、つまり、とにかくTOTOがロックっぽく気張ると、もう、小躍りするくらい、私の「かっこ悪い」琴線にことごとく 触れまくるのが、おかしいです。いや、嫌いじゃないんですけど。私、4thに入っている「アフリカ」はほんとに好きだし。
続いて2nd「Hydra」。これはむかしは、少しはかっこよいロックだと思ったことも……。
mmm、やっぱりかっこ悪く聞こえる。が、しかし我慢……。1曲目2分近く経過。ぎえ~、でもやっぱり、かけ声とか、すげえかっこ悪り~と思うんですけれ ども。とにかくギターがかっこ悪い。すてぃーう゛るかさー、オレ、ほんと、駄目みたい。いつだったかジェフ・ベックと軽井沢かどこかで競演したビデオ見た ことあるけど、汗みどろのガマガエルみたいだったっけ。
そして、ロックっぽく気張らない曲は、まあそれなりに懐かしくもあって、わりと落ち着いて聞いていられて、7曲目の「White Sister」は、むかしけっこう好きだった、気張り目の曲。
うーーん、これは、まあ、ラジオとかで聞くなら、まあ、いいかー。でも、ところどころかっこ悪い。むかしよりかっこ悪いところが目立つなあ。
うひゃー、書くことは「TOTOってほんとにかっこ悪い」しかなかった。 でも、けっこう病みつき。
イエ~イ(「Hydra」の途中のかけ声のつもり)。
(20000327)



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山口マナビ氏と「イカ天総集編」を観る
昨日、ご近所にアトリエをかまえておられる天才イラストレータの山口マナビさんが、うちに遊びにいらっしゃいました。マナビさんは今月初めにパーマをおあ てになったようでして、楳図かずおというか、ヨーロッパのマイナーな国の画家というか、原宿の道でなにか売ってそうというか、そんなお洒落な風貌に変身し ておりました。
だらだら世間話などしているうちに、なんとなく「平成名物テレビ 三宅裕司のいかすバンド天国」(通称イカ天)の総集編を録画したビデオを観ることになりました。いや、べつにブランキー・ジェット・シティが解散したか ら、とかいうことではなく、たまたま私が先日部屋の模様替えをして、そのさいに古いビデオテープが出てきたもんで、観ようかなーと思っていたもので。
この総集編は、1991年(平成3年)01月01日の早朝に放映されたものらしく(だってビデオはオレが「イカ天総集編」ってラベルを貼っただけのものだ しー)、ということは、たぶんイカ天が終了した直後。全部で4時間弱だったのですが、バンドの演奏と当時の世相をたくみにミックスした内容で、ほとんど早 送りせず一気に観ました。
いや、途中ダレたりもするんだけど、そのダレ具合もあの時代の深夜番組らしく、またスタッフが起こした不祥事のお詫び会見なんかまでちゃんと入っていたりして、なかなかスバラシイ。当時のコマーシャルも、ときには本編以上に懐かしかったりして。
10年の月日を感じました。とにかく死んだ人もたくさん出てきたし。remoteの池田貴族(やってる曲は初期Jぽっぷだけど、目つきが生意気で若い!) だけでなく、小渕官房長官、宇野総理大臣、CMに出てきたアイルトン・セナ。マナビさんが友だちだった「マサ子さん」の大正琴の女の子も亡くなったそうで す。あと、死んだわけじゃないけど、ポカリスエットと富士通のCMに出てきた宮沢りえのかわいいこと! じゅわいおくちゅーるマキ(ブティックJOY?) のCM攻撃も、すごいものがありました。
それで、フライング・キッズとか人間椅子とかいった有名どころ(!?)は、いま観てもやっぱりよかったんだけど、でもぐーっと懐かしかったのは、すっかり記憶の片隅に追いやってしまっていた「シブ~い」バンド群。以後、だらだら雑多に書きま~す。
一番最初にぐっときたのは「たちくらみ」という女の子バンドの「チカンにあいたい」。「電車の中で、チカンにあいたい(イヤイヤ)♪」。ぎゃっ、やめてく れ~、おもしろすぎ。その後ブラボー(「ハイになりましょ~♪」)とかオーラ(ダセえ)とか出てきたけど、このへんで圧倒的に好きだったのは、やっぱ梅毒 ジェラシーの「週刊秩父伝説」だなー。いま観てもすごくおかしい、パンツを被った猿。セメントミキサーズはCD持ってるんだよな、けっこう好き。宮尾すす むと日本の社長、一番好きです。小伝馬(バニーガールのバンド)、すっかり忘れてた。スイマーズ、あっ、この人たちともマナビさんはお知り合いだそう で……。
その後、みうらじゅんの「大島渚」(「カリフォルニアの青いバカ」)とかが出てきて、世の中は社会党土井たか子のマドンナブームで、イカ天ではMORMA JEANとかいう女性バンド(これは私、まったくダメ)がキングで、「奥様の生下着」って本のある部屋の主・宮崎勤がつかまって、WEEDとかBEとか ちょっと気になるバンドが出てきて、ビギン(mmm、m)がキングになって、んで、すっかり忘れてたのにひとりでバカウケした記憶がよみがえってきたのが 「アブドラ・ザ・ブッチャーは是非ともスポーツ平和党」というバンド。あはは、ギター雑誌とか細かく読んでそう。バンド活動しなくて、部屋で1人でギター 弾き続けてたっぽい雰囲気がよかったです。
その後カブキロックスとか出てきましたが、でもこのテの企画モノなら、オレは第13代イカ天キングのサイバーニューニューのほうがずっと好きだったなあ。 たしかサイバーニューニューのでた週は異常にレベルが高くて、その後デビューしたレジスタンスも出ていた記憶が(CD買った)。あと、この週に、モロ TENSAWの影響受けた横浜のバンドが出ていたはずなんだけど、総集編に入ってないから名前が思い出せない……。すごく好きだったんで、あとで「イカ天 年鑑」探してみよう(どこにある?)。
そして平成元年11月、ベルリンの壁が壊れて「たま」が登場。いやあ、いま観ても圧倒的にいい。この人たち、紅白に出たり川崎製鉄の企業CM(not商品 広告/バブルだなー、CIブーム……)に出たりしたっけ。私は「さんだる」の発売日に、レコード屋の平台からみるみるCDがなくなっていくのを見た記憶あ り。みんなが好きで、みんながふと気がついたら忘れてたたま。それにしてもグランドキングを賭けたマルコシアス・バンプとの勝負はすごいっす。マルコシ秋 間さん、ビビってったし。あっ、たまと争ったバンドには坂本プロジェクト(「バカバカバカ~♪)」も。
そんで、丸腰ですが、これはポスト・ビートルズのロックにずっぽりハマった私は、憎めるわけがないなあ(見かけだけじゃなくて曲もいいし)。そして、イカ天は武道館でのコンサート~平成2年へ。
じつは今回ちゃんと観たいと思っていたのは、この平成2年のほうだったんですが、いきなり中学生日記登場! チューリップ持った大屋マサコ風ヴォーカルが 「オヨヨヨ~♪」と絶叫、これ、かっこいい。そしてHere Is Eden、タッケナー・アンサンブルの曲もいい。そしてCD買った遊星ミンツの「おしっこちびりそうなの」。これすごい好きだったんだけど……。マナビさ んが「この人たちはどこかの劇団のメンバー」と教えてくれたのだけれど、くわしいことはわかりません。キングのストーン・クレイジーは、まあ……(私のわ からない世界)。そしてストーン・クレイジーに勝ってキングになったTHE BOOTSは、オレは原宿のイカ天ショップまでCD買いにいったくらい好きだったでした。ヴォーカリストの目がいい。でもTHE BOOTSはボンジョヴィみたいなランブル・フィッシュに負けちゃいました。そして、萩原健太、吉田健氏らの審査員降板へ。
ランブル・フィッシュに勝ったのがリトル・クリーチャーズで、このバンドを見たときには「オレも年をとったなあ」と思ったものだった(詠嘆)。正直 ROCKSのセーラー服ブルースはすっかり忘れてたけど、おっかしい~。GREEN GODDESSの「南野陽子ヨコハマヨコスカ(タンッ)南与野」……」。そして登場2週目にプロデビューが決まったといってキング辞退したソリッド・ボン ド。これをマナビさんが「すごくいい!」と言ったのは意外でした。けっこう、ロケンローラー? それにしてもこのバンドのその後は、私はまったく知らな い。ミンカパノピカ、「あいむそうたいあーど」の坊さんバックスピン。そしてそしてランパ(from大阪)は、ヴォーカルはちょっ~と、なんだけど、サン ディズみたいな音づくりが好きでCD買ったっけ。人面魚ブームの頃に梅ジェラ再登場。やっぱり好き。やどかり天国も再登場して、今度はドラムがこけた。な んだかこのへんから番組がだれてる気配が。マーメイド・ヴィヴィッドのミーナちゃん、懐かし。グイーンはいま観るとそんなでも。イラクがクエート侵攻。 25代目キングのザ・ブランキー・ジェット・シティ登場。本気だ、やっぱ。CD1枚も持ってないけど、すげえ。有機生命体にも惚れられてたみたいだし。
そしてそしてそして、パニック・イン・ザ・ズー(70年代のロック飲み屋にいたようなおねえさんたち)がしばらくキングをやってるころ、イカ天年内終了発 表。自衛隊中東派遣問題。イギリスからセンスレス・シングスが出演。これ、裏事情とか全然知らなくてもヤラセのプロモーションくさい(っていうか、番組が 荒んでる感じ)。GLU(この人たちの曲は好きでした)がしばらくキング。11月即位の礼。TBSのおじさん宇宙へ。平成2年12月22日、イカ天、コン テスト形式での最終回。チャレンジャーのノア・ハウスはなかなかシブいバンド。MAIRAのヴォーカルの女の子(子ども)はいまなにやってるのか? 最後 のキングは2週目のエディション・デラックス。そして……。
最終回になって、一緒に観ていたマナビさんを「すごい!」と驚かせるバンドが登場しました。それは「ハレンチ学園(永井豪)」という女性2人組。「かあさんが、痰を吐いたらとうさんが飲んだ。ステキ」という曲。うーん、オレはすっかり忘れてた。
ということでした。マナビさんおつかれさま~。オヤジにつきあわせてごめんね。
(20000521)


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ジャケ逃げしてたtahiti 80にハマッた
だってお洒落っぽいカップル(ビーチにいるのか?)に青空にカモメが飛んでるイラスト。しかもおフランス産のポップス。恥ずかしくて手が出せないでいた tahiti 80の「Puzzle」というアルバムですが、レコード屋でよくかかっていて気になって、さらに国内盤初回限定のデジパックがどんどん少なくなるんで、今 日ついに手を出しました。えーい、文字で説明するのめんどくさいからジャケット載せちまえ。

とんでもなく好きですねー。ここ数年聴いた洋楽の新しいミュージシャンの中で、ダントツに震えさせられてます。もう、オレ的など真ん中。「あ~、やっぱりこういうのが好きなのか」と、自己嫌悪すら……┐('~`;)┌……、進歩がねえぞ。
1曲目の「Yellow Butterfly」で完全にノックアウト。つたないボサノバ風のギターとベン・ワットかコリン・ブランストーンかっていうナヨナヨ鼻歌霞声。頼りなげな ドラムとベースとラッパの音を従えて突っ走るんですが、耳から鱗だったのは、大サビのところで唐突にヴォーカルにエフェクトがかかるところ。じつはこの部 分をレコード屋で聞いて以来耳から離れなくなっていたんだが、これってたぶんZAPPのロジャーとかが得意にしていたトーキング・モジュレータってや つ!? 私は最近のレコーディング技術とか流行の音づくりにすっかり疎くなってしまっていてよくわからないんだけれど、どうしてこんなアレンジ考えつくん だろうと、びっくりしたまま天国へ連れていかれました。
しかしなんでいまごろフランスからこんな「せつなっぽくあおくさく、でもマイナーな感じがしない」音が出てきたのか不思議。
ミックスは原田知世といい仕事してたトーレ・ヨハンソン(←それだけじゃねえだろう、って(^^;)、ラッパのアレンジはジェイソン・フォークナーといい 仕事してたエリック・マシューズ(カーディナルもソロ作も好き)、IVYのアンディ・チェイスがプロデューサー。おおざっぱに言うと「ネオアコにタイムス リップ」って感じの音楽なんだけれど、でもあんな素朴じゃなくて、なんか歪んでいるマトリックスな懐かしさ(苦笑)(←わ~、この「(苦笑)」って書きか た、音楽ライターみたい(^^;、……って、括弧がいくつあってもたりないしそもそも「マトリックスな」はねえだろばかっΨ(`▽´)Ψ)。
tahiti 80は昨年の暮れ、一部お洒落さんのあいだで輸入盤(フランス盤)が売り切れ続出になるほど話題になっていたそうです。私、すっかりそういう早耳はなくし ましたが、でも、とにかく夏がくるまえにゲットしてよかったと思っております。ヘヴィー・ローテーション確実。こんなのBGMにして海にドライブいける若 い男女が羨ましいけれど、オレはむかしプリファブ・スプラウトの「STEVE McQUEEN」でやったからもういいや、クーラーがわりに部屋のBGMにしよう(寂寥……)。
なおバンド名はもちろん「たひちはちじゅう」じゃありません。なんて読むんだ? 「たいちきゃとるう゛ぁん」でいいのか??
(20000608)


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「UP」じゃないみたいですが……
ピーガブの新しい音源が出たみたいです。しかし「SO」(1986年)のころからの人相の変化には驚くばかり(写真参照)。潔いというか、むかしから知っ てる人にとっては「望みどおりになれたね(^O^)」というか。やっと、ハゲました……。数年前から噂になっていた「UP」というオリジナルアルバムでは なく、テーマパークかなんかに関連した「やや企画モノ系」みたいですが、まっ。


詳しくはpeter gabrielへGO!
(20000616)
※↑みたいなこと書いて、昨日音源を入手しましたが、いやこれは「やや企画モノ系」なんてものじゃなくて、「US」よりいいかも。ちょっと、ロンドンにいかないとまずいかも、ってくらい引き込まれてます「OVO」。
(20000618加筆)
★っていうか~、めちゃめちゃいいです。すでに聞きまくり。しかし現時点でこのアルバムに関する情報、少ないなー。人気がないからか? それとも、日本に配信されるニュースは、やはりアメリカ経由が多いからからなのか……。
ここにピーガブのインタビューあり
(20000622加筆)


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ときどきわけのわからない輸入盤を
2ステップってなんですか? ここ数年は新しい音にほんとうに疎くなっちゃって、ティンバランドやビッグ・ビートあたりからジョージア州アセンズエレファ ント6やシカゴ音響派なんかに至る過程で、もうなにがなんだかわからない状態になりましたが、それでもあいらかわらずCDは買い続けています。近頃はフ ル・ムーンの正規再発がうれしゅうございました。バジー・フェイトンは今年「ワーリーズ」名義のニューアルバムも出していたりして、地味ながらがんばって ます。スタッフの2ndはどこを探しても見あたらず。どうしてかなー。
というわけで過去の記憶を頼りながらの音楽探訪ばかりしておりますが、それでも、ときどき無性に新しい音(というか未知の音)を聞きたくなったりして、そ ういうときは「なんだかわけのわからない輸入盤」にチャレンジします。最近は試聴コーナーや「お店の人が独自につくってCDの右上に貼り付けている売り文 句を書いた紙」(←これの名前を知っている人がいたら教えてください。POPじゃ、なんかちがうよな)も充実しているから選びやすいし。なんていうのか な、マイナーなのが好きっていうより、そこいらに流通している「メーカー品っぽい音」がすごくうざったく聞こえることが、ときどきあるんだよな。
それで、ここ2、3か月でそういうのを10枚くらい買いまして、みんなそれなりにおもしろかったのですが、とくにお薦めなのを何枚か紹介しようと思ったも のの、うへー、情報が少ない。インタネ検索でも国内ではほとんど引っかからず、けっきょく発売元のホームページまで旅することになったりして(むかしより はずっと楽なんですが、でもやっぱ、英語は、つらい...)。
というわけで以下、興味のあるかたは、どうぞ。数日前に確認したら、タワーレコード、HMVクラスのお店にはまだ在庫がありましたが(ものによっては1枚とか(^^;)...。
1.「National Skyline」/National Skyline
(HIDDEN AGENDA RECORDS/AHA! 015)



●吉祥寺の「ワルシャワ」(最近改装したみたい)でジャケットが目にとまり購入。メンバーはJeff DimpseyとJeff Garber。DimpseyのほうのJeffさんは、たしかHumという「裏スマパンか裏マイブラか」みたいなバンドのメンバーで、私は「You'd Prefer An Astronaut」「Downward Is Heavenward」の2枚を持っていまして、どちらも「霧にむせぶハードロック」って感じで好き。それでこのアルバムでは、もう少し歌に重点を置いた 音楽をやっているようですが、ダークながら美しいメロディが、なんかいいです。ちょっとポリスみたいだったりもする。
2.「The For Carnation」/The For Carnation
(TOUCH AND GO RECORD/tg214cd)



●これは『ミュージック・マガジン』6月号の輸入盤紹介を参考にして渋谷のHMVで購入。元スリントのブライアン・マクマハンのグループで、トータスのメ ンバーも関係していたらしく、いわゆるシカゴ音響派と呼ばれているらしいのだけれど、よくわかんない~。私、むかしガスター・デル・ソルの「The Serpentine Simirar」の紙ケース入り通し番号付きのやつをけっこうリアルタイムめに買って聴いて「なんだただのフォークじゃん」と思って売った過去あり。それ でスリントは「忍者村のヘヴィーなクリムゾン」って感じで好きだったバンド。「tweeze」のアナログ盤がなぜか部屋に長いこと飾ってあったりします。 ええと、それで、The For Carnationなんですけれど、これはじわじわとサイケが効いてきそうな、なんか、プログレっぽい雰囲気もある音(なんの説明にもなってない な...)。このまえ明大前の「モダーン・ミュージック」にいったらアナログ盤でかかっていて「ぎゃー、かっこいい」と思ったでした。
3.「signal hill」/dakota suite
(LOOSE/Loose vjcd 115)


●渋谷HMVの試聴コーナーで「めちゃかっこいい!」と思って購入したUKバンド。どんな人たちなのか全然知りません。フォークソングみたいなのだけれ ど、独特の荒涼感というか寂寥感というか、そんなのが漂っていていいです。なんか、スナフキンとかが歌っているような雰囲気。ニール・ヤングの 「Helpless」(たとえが古い!)がもっと繊細になったような感じか? とにかくよくわからない人たちですが、ジャケットにホームページのURLが 載ってました。
http://www.hooson.demon.co.uk
4.「×××f#a#∞×××」/Godspeed You Black Emperor
(Kranky/krank 027)



●アルバムタイトルが読めねー、っうの。"f# a# [infinity]"が正しいのかも。いにしえの暴走族みたいな名前のバンド。これは新宿ディスクユニオンでジャケットと「お店の人が独自につくって CDの右上に貼り付けている売り文句を書いた紙」(←これの名前を知っている人がいたら教えてください。POPじゃ、なんかちがうよな)に心惹かれるもの があって購入。「英NME誌をして“今世紀最後のロックバンド”と言わしめたカナダのドローン音響バンドのフルアルバム。9人のメンバーそれぞれが様々な 楽器を駆使して繰り広げる絶望的音世界にはもう涙すら出てきます。軽い気持ちでは絶対聴けない、まさにリスナーとの真剣勝負を挑んでくる音」って書いて あったのですが、オレ、軽い気持ちで聴いちゃった。それで、なかなかかっこいいです。渋い猟奇殺人映画を深夜にひとりで観ているみたいで引き込まれます。 先月日本盤が出たようですね(Pヴァイン PCD 23058)。「クロスビート」の7月号にレビューが載ってました。
5.「Song」/Lullaby For The Working Class
(Bar/None Records/AHON-108)



●しっかし、すげえバンド名だ。歌詞はわからない(読んでない...)のだけれど、けっこうメッセージ性が強かったりしそう。それで、音のほうは、すごく ぐっとくる感じです。渋いブルース・ホーンズビー(初期)というか、どマイナーなフーティ&ザ・ブロウフィッシュというか、バンジョーやマンドリンやフィ ドルを効果的に使って、厚みのある歌を聴かせます。いい意味でアメリカの田舎的。気に入ったので「I Never Even Asked For Light」ってアルバムも渋谷のタワーレコードで見つけて買っちゃったしなー。なんか、やばそうなものを感じつつ、愛聴。
P.S.
あっ、それで私、1年半くらいまえにあてずっぽで買っていまだにすごく気に入っている輸入盤アルバムがあるのですが、なにか知っているかたがいましたら、教えてくださーい。
「people living with animals.animals kill people」/PELE
(star star stereo/str4007)



●なんか、フォーク環境音楽みたいな感じです。
ではでは。
(20000816)



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流行もののグレイトフル・デッドに再挑戦
ほんとうはどれくらい流行しているのか実感がないんですけれど、でもまあ、うちの近所にある「ヴィレッジ・ヴァンガード」という書店&雑貨屋にもデッド・ ベア(キャラクターの熊の人形)がたくさん売ってるし、最近大きなレコード屋さんにも特設コーナーができていたし、ってことで、少し気になって買おうかど うか迷っていた「レコード・コレクターズ」9月号(特集は「グレイトフル・デッドの愛し方」)を入手し、ざっと読んでみました。うえ~、アルバムたくさん 出していたんだな~。
グレイトフル・デッドの音については、私はほとんど聴いていないので、とくに語ることなどありません。じゃ、黙ってろ、ってなものですが、でもデッドとい う存在については、なんとなくもやもやした記憶が残っていて、それが少し気になっているので、こうしてゆるゆると字を書き始めてみたものの...、と。
学生のころリアルタイムにグレイトフル・デッドを聴かなかった第一の理由は、カネがなかったからです。でっ、カネについては「つまり煙草ひと箱100円の 時代にLP一枚2500円は高級品だったということ」に尽きまして、そういうことについておもしろいことを書いてもおもしろくないので割愛しまして、第二 の理由なんですが、これがなかなかむずかしくて、なんというか、当時、私にとってグレイトフル・デッドっていうのは「すごく遠いところのバンド」というイ メージがあったのです。好き嫌い以前に「遠い」って感覚だったなあ。かりに欲しいレコードにプライオリティをつけたとしても、永遠にリストに入ってこなそ うな、得体の知れない「遠さ」。
日本のどこかで「アタマがよくてちょっとヘンな人」が聴いていそうなバンド、ってイメージを、勝手に持ってかもしれない。とにかくオレのまわりには「デッ ドが好き」という人間がだれもいなくて(いつもオトモダチは「バカ」ばかり(^^;)、近所の「アタマのいい高校」に通っていた友だちの友だちが「アメリ カン・ビューティ」を帝都無線だかSUMIYAの紙のレコード袋に入れて持っていたのを見た記憶があったようなないような……、でも彼だって「デッドが好 き」とは言ってなかったなあ、たぶん。
そもそもアメリカン・ロックよりイギリスのプログレ(あとオフコースと外道)が好きだった当時の私のアタマのレベルを思い出してみているのですが、まあ、 ドゥービー・ブラザーズのシャリッとしたかっこよさはすぐにわかりましたなあ(バカでもゴキゲン!)。オールマン・ブラザーズ・バンドやレイナード・スキ ナードのシブさもまあまあ理解できました。でも、これがザ・バンドやリトル・フィートになるとそろそろ「難しい」になってきて、グレイトフル・デッドはさ らにその先、って感じで、サーファーブームがくるまえの吉祥寺あたりの「赤毛とソバカス」」や「西洋乞食」といった喫茶店で髪の長いお兄さんやお姉さんに 混じって「...、なんか、カントリーみたい」と思いつつ聞いていたと、そんなもんです、リアルタイムのデッド体験。
個人的に一番強烈な印象として残っているのが、1980年代の最後のころに、ジェリー・ガルシアをパルコのCMで見たことだったりして。
ちょっとまえにフィッシュの6枚組ライブを買って、けっこう聞いたりしましたが、でも「デッドに似ている」とは思わなかったなあ、って、そもそもデッドを 聴いていないんだからなんともですが...。いまのオレは若いころより多少はカネがあるのでCDも少し自由に買えますが、それでも持っているのは「アメリ カン・ビューティ」「ブルース・フォー・アラー」「イン・ザ・ダーク」の3枚とジェリー・ガルシアの「ガルシア」ってソロのみ、ライブ盤はゼロ。どれも中 古盤屋でみつけて買って、あまり聴かないままになっています。……、ほんと、遠い。
ったく、スティーヴ・ミラー・バンドやジェファーソン・エアプレイン~スターシップなんてところでも、いつのまにかけっこう持っていたりするのにさ。永遠 に欲しいリストに入ってこない、だけど、ずっと気になる不思議なバンドって感じです。最近の再評価ブームはいい機会だから、ちょっと気合いを入れて聴いて みようかと思わないわけでもなく、でも「気合いを入れて」とかいうのが一番似合わなそうなバンドだなあ、とも思え、そうこうしているうちにまたオレのなか で遠くへいってしまいそうな気がしないでもなく、だらだらだら、書いている文章もゆるゆるゆる、ではでは。
(20000831)



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小田原の海辺でレイヴってやつを...
2000年09月02日。DJのNickcageさんに誘われて「balearic sunrise~free style beach party」にいってきました。これは、いわゆる「レイヴ」という屋外ダンスパーティ、……、いや、「レイヴ=屋外ダンスパーティ」ではないのかもしれ ず、というもやもやした思いが以前からあったりもして……、っていうか、そもそも「レイヴ」ってなんなんだかわからないしー、なら一回体験してみよう、と いうわけで参加しました「balearic sunrise」。以下は自称「ロックもの」のオレの体験メモ。
20000902.午後
イベントの開始は21:00。噂では翌日の朝まで続くらしい。出発をまえに「寝貯め」も考えたが、なぜか無性にドライブ用ベストテープがつくりたくなる。 AXIAの150分テープのシールをはがし、カセットデッキのまえに座り作業開始。1980年ごろの「六本木ウィナーズ」風というか、モーニング娘。の元 ネタのもうちょっとシブい感じというか、とにかく「ディスコ~ブラ・コン」路線のにしようと決め、ルーファス、シック、シャラマー、システム、ジェーム ズ・イングラム、アンジェラ・ボフィルなんてあたりからジョージ・クリントン、レイクサイドなんて臭め、ジョージ・ベンソンなんちゅうフュージョンめ、 ローリン・ヒルやTLCといった新しめまでとりまぜて格闘すること4時間。なぜこんなもんをつくりたくなったのだろう? レイヴという未知のダンス・イベ ントをまえに、既知のダンス・ミュージックでウォーミング・アップしたくなったか、それともたんに気分がちゃらちゃらしていただけか? とにかく夕方に なってテープが完成し聴き直すと、ほれぼれするほどダサかっこいいでき。安心して横になると電話で起こされ、完徹を覚悟する。
20000902.夜
まず「balearic sunrise」への参加予定者(ウェディ、マナビ、ゆずっ子各氏)とともに近所の北沢神社の祭りにいく。屋台で腹を満たし、あまりの暑さに一度自宅へ戻 り涼む。5対0で中日が巨人に負けていて、気分が悪くなる。徒歩でトヨタレンタカーにいき、小田原を目指す。オレの自慢の「ディスコ~ブラ・コン」テープ は不評。第3京浜~横浜新道に入るあたりで、なんとなくテープ交換しないといけない雰囲気が車内で限界に達し、自主的にチェンジ...。道は思ったよりも 渋滞。江ノ島あたりで、BGMをさらにサザン・オールスターズにチェンジ。窓を開け、大音量で「勝手にシンドバッド」を流しながらクルマは茅ヶ崎方面へ。 なんだかすごいことをやっているような気がしたが、でも楽しかった。クルマは西湘バイパスへ。携帯電話で「参加するかもしれません」と言っていた大船の ムーンライダーズ野郎・ツッチー氏と連絡をとる。「やっぱりいきませ~ん」とのこと。な~んだ、残念。そろそろ日付が変わる。
20000903.夜
フライヤーをよく読まなかったため、クルマは酒匂川を越え小田原インターチェンジまでいってしまう。バイパスを降りて一般道を逆走し、迷うことなく会場付 近まで辿り着く。駐車場をめざして細い道を進むと、暗闇に人影が多数見えてくる。おーっ。エンジンを切り車外に出ると、海岸方面からドン、ドン、ドン、ド ン、クニャクニャ~と電子音。うわー、けっこうな人数が集まっている。
20000903.深夜
星空のもと、ドン、ドン、ドン、ドン、クニャクニャ~が響きわたる。会場(というか海岸の砂浜)は暗く、少し高台にあるDJブースとP.A.(スピーカ) から波打ち際に向かって扇状に人が集まっている。踊っている人、テントやビニールシートでくつろいでいる人、LOVE×2な人、花火をしている人などさま ざま。昼間なら海水浴場の風景といった感じで、群衆がトランス状態で踊り狂うといったわけではないとわかり、やや安心する。ひと休みしてDJブースに近づ いてみる。さすがに、トランス度が高いかな~!? 人いきれで熱い。踊らずに歩いている自分がバカに思えて、慣れない音楽に合わせて少し身体を動かしてみ る。腰が硬い。かつての「夜の帝王」ぷりはどこへ(嘘八百)? ずるずると後退し、波の音とドン、ドン、ドン、ドン、クニャクニャ~のバランスがとれる地 点から、しばらくダンス&音楽鑑賞。風に乗ってふと渡辺満里奈ちゃんの匂いがしてきたような気がした。まあこんだけ人が集まれば、なかには、ね。
音楽とサウンドについて
今回の楽しみのひとつは、ずっと「ロックもの」できてしまった自分が、どのくらいこのテの音楽にノせられてしまうかを確かめることでした。まず、しばらく 音を聴いていて思ったのは、わかりやすくいえば、「ニュー・オーダーの『Blue Monday』がずっと続いているみたいだ」という素朴な感想。深夜の時間帯にDJがかけていたのは「Blue Monday」よりもさらに素っ気ない、というかストイックな音で、この方面の門外漢のオレには、「わー、知ってる曲がかかったから盛り上がるぞ~」って な旧来のノリは無理。ならばごちゃごちゃ考えず、音に身を委ねてトランスしてしまえばいいんでしょうが、でもね、「そうはいくかい」と無駄な抵抗を試みた がるのも悲しく楽しい「ロックもの」の性。とくに私はビートルズを抜けたジョン・レノン様とかナッズを抜けたトッド・ラングレン様とかジェネシスを抜けた ピーター・ガブリエル様とか、そういう引き籠もり系の音楽を好んで聴いてきた人間であり、古い時代のロック・フェスや、パンクやへヴィメタの「みんなで拳 を突き上げて連帯感...」ってな感じ(←偏見入ってますね(^^;)なんて全然わからな~い、音楽はひとりで聞くものだ、ぜ、……、mmm、脱線だ、と にかく、「みんな楽しそうだから僕も仲間に入れて~」になかなか慣れることができない人間なので、いろいろ自分の「外堀を埋める」作業を試みてみました。
曲調は決してとっつきにくいものではなかったです。ロックは雑食性が高いので、すでにこうした音楽のおいしい部分をずいぶん勝手に取り込んでしまっている みたいなので、日頃そういう音楽を聴いている私は、だから、聞こえてくる音に、よくも悪くも得体の知れない違和感を持つことはなかったです。それから曲調 に変化を持たせるブレイクやエフェクトも、私はDJ経験がないのでほとんどわかりませんが、でもなんというか、たとえばギターを多少知っていれば、ディス トーションやディレイやフランジャーがなんであるかわかっていれば、その音の使われかたに驚くことはあっても、使ったこと自体には驚かないという感じで、 それほどびっくりはしませんでした。それから音響(←でいいのかな?)については、私は、事前には、もっと音が空に抜け上がっていく感じを想像していたの ですが、そうでもなく、「うーん、これは音が小さいからかな~」などと思っていたのですが、どうなんだろう? さらにもうひとつ、このテの音楽はレコード 屋なんかの天井のスピーカで聴くとかっこよく聞こえることが多いので、「抜け上がる」系ではなく「落っこちてくる」系の音楽なのかな、とも思い、これもど うなんでしょうか? しかしながら、今回レイヴを実際に体験してみたいと思ったのは、まさにこのへんの疑問、つまり「音楽を聴いているだけではいまいちよ くわからない部分」を解明したかったから。部屋(頭や耳)で聴いているだけじゃ「どこがおもしろいのかわからん」ものの実態を知りたかったからであ り……。
などと、いろいろムダな抵抗を試みつつ、踊ったり踊らなかったりしながら夜明けを待つ私でありました。
P.S.
でっ、本日(20000904)、アナログでしか持っていなかったニュー・オーダーの「Blue Monday」を買ってきて聴き直しましたが、まあ、なんとレイヴ会場で聞いた音楽に比べて情緒的なことか。そういえばパーティのお開きみたいなとき(朝 の7時ごろ)にもなぜかニュー・オーダーの「Regret」がかかり、会場が急に濡れた雰囲気になったことを思い出しました...。
20000903.夜明け

なんだかんだ頭の中でぶつぶつ考えごとをしながら、とはいえ気がつくとDJブースのそばで硬い腰を振っていたオレ。でも空と海の境界線がぼんやりと白み始 めたあたりから、なんだか気分がすっと晴れるというか、みょうな開放感が心地よくなってきたから不思議。ちょっとダンスをズルッコして、波打ち際まで歩い てみる。音楽より波の音が大きく聞こえる。しばらく海を眺めていると、黒い筋が何本か空に浮かび、太陽の気配。オレンジ色がどんどん濃くなり、あたりから 「ワーッ」という声が聞こえてくる。

音楽と喚声に押し出されるように太陽が顔を出した。なんでしょうかね、この高揚感。オレは「酒飲まないで朝を迎えたの久しぶりだな~」とかボケッと思いな がら、太陽を直視していた。いまここにいる人それぞれが、それぞれの太陽を見ている。なんか、気持ちのいい瞬間だった。音楽がストイックなやつからけっこ うメロディアスなやつに変わった。甘い、でも、ラジオ体操みたいで悪くないぞ。えらく元気になってきた。踊りて~、理屈じゃなく、自然にそう思えたので、 思いのままに、ぶんぶん踊った。

20000903.朝
気がつくと朝の7時を過ぎても踊っていた。渋滞に巻き込まれたくないから早めに帰ろう、と思っていたのに、なんか、盛り上がってしまったオレ。チルアウ ト・ブースでハッピーな曲をかけているNickcageさんに挨拶をして、会場をあとにした。なんか、ちっとも眠くなくて、ブラック・サバスやシン・リ ジィやUFOやラッシュの入ったベストテープを聞きながら鎌倉方面までドライブ。途中でテープをまたサザンにチェンジ。「C調言葉にご用心」を歌いながら 横浜横須賀道路を飛ばした。砂の浜辺でなにするわけじゃないの~。
ではでは。
(20000816)



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over rocketの歌に金縛り
えっと、すっかり更新をさぼっていましたが、そのあいだにもいろいろとよい音楽と出会っていたりはしておりまして、なんといっても最近はレディオヘッドの 「KID A」。それからthe letter Eという正体不明な人たちの「no.5 longplayer」。さらにpeleという以前から正体不明さんの「the nudes」という新譜もよく、また、やはり正体不明のgodspeed you black emperor!なんですが、この人たちは、日本でもだんだんメジャーになってきたみたいでして、「なんか日本の暴走族みたいなバンド名だなあ」と思って いたら、どうやらほんとうにそこからとった名前だなんて情報も入るようになりまして、それでつい最近、充実した2枚組の新譜(「lift yr.skinny fists like antennas to heaven!」)が国内盤でも出まして、あっ、これはdisk UNIONで買ったら生写真がついてきましたでした。そうだジェフ・ベックの新譜は、とてもドライブしています。かっこいい!
それで、今日は吉祥寺をぶらぶらしまして、「ペンギン・カフェ」の向かいにある「33」という店でカバンとかトレーナーを見ていましたら、店内でものすご くかっこいい女性ヴォーカルものがかかりまして、もう、金縛り。洋専カミングアウトのオレにしては、とても珍しい体験でして、記憶にあるところでは、 mmm、ユニコーンの「逆光」をレコード屋さんで聞いたときには、すぐに飛びついたっけ...。
私が金縛られたのは、over rocketというバンド(っちゅうかユニット!?)。お店の人曰く「いまかかっているのはもうすぐ出る新譜の曲なんですが、発売中のアルバム、在庫ありますよ」。うーん、ここで買わないと、もう一生聞く機会がないかもしれない、と思い、 「blue drum」というアルバムを、予備知識なしで買いました。それで、家に帰ってきてかけたら、大正解! すばらしい! さっそくインタネでいろいろ調べてみました。
over rocketは青山にあるおしゃれビル「spiral」(どのくらいおしゃれかっていうと、松嶋菜々子が反町隆史へのプレゼントを買ったらしいってくらい おしゃれ、ってなんだその程度のおしゃれかよΨ(`▽´)Ψ)の主宰する、「Urban Primitiveレーベル」所属のミュージシャン。このレーベルは、
風のざわめきと同じようにクルマの走行音を聴き、街のノイズに季節を感じる。
そんな、都市生活者の「内なる自然」に語りかける、"Urban Primitive"。
都市の生命の響きを湛えた歌であり、 これは、未来のポップミュージックの予感を共有できる音楽です。
~ホームページより引用~
だそうでして、mmm、私はそんなあーばんに反応してしまったのか、と忸怩たる思いがなくはなく、しかも「spiral」の1階にあるレコード屋って、私 が東京で一番嫌いなレコード屋だったりもして、……、って、まっ、いいや、over rocketの音楽がほんとうによかったんだから、このさい所属レーベルなんかどこでもいいや。
それでover rocketですが、本田みちよ 、鈴木光人、渡部高士の3人組。1997年にテイトウワプロデュースによるボーカルオーディションで準優勝したという本田さんの歌声は、すごくよいです。 鈴木さんという人は1994年に田中フミヤ主宰のレーベル「TOREMA」からデビュー。その後、細野晴臣によるテープ・コンテスト「Ecole de Hosono Haruomi」受賞。1997年、細野氏主宰のレーベル「Daisyworld」の第1弾となるコンピレーション・アルバムに参加。エリック・サティの ジムノぺディをアレンジした「Gymnopedie'99」というソロアルバムも出してます。一部噂では、ポストKEN ISHIIなのだとか。この人、才能あるな~っ。そして渡部さんは、電気グルーブのスタジオワークやライブワークでキャリアを積んでいた人らしく...、 あっ、「Urban Primitiveレーベル」でのover rocketの紹介は、
ミントのような清涼感のヴォーカルと、どこかSF的かつ牧歌的な詩の世界は、宇宙の広がりを感じさせる。"体感音楽"とでも呼びたくなる新しいタイプのポップミュージック。
~これまたホームページより引用~
なんだそうで、
あー、ほんとにもーむずむずむずむず┐('~`;)┌。
ということで、あーばんじゃない私でも強く惹かれた over rocket、すごくいいっすよ。近々出るらしい新譜も、絶対に買うつもり。ジャケット写真、試聴等は、
「blue drum」(UPRI-001)/over rocket
へGO!
ではでは。
(200012002)
※そしてover rocket の1st FULL ALBUM「 Mariner's Valley」が発売になりました。さ~て、レコード屋にいかなくっちゃ! この件に関しては掲示板に訪れてくださったsatoさんとトノさんが、以下の 情報ソースを教えてくれました。Thanks!
http://www.aten.co.jp/
http://www17.tok2.com/home/wire/cgi-bin/vote/vote.cgi
http://www.shop33.com/freepaper/2001_01/a.html
(以上satoさん)
■オンラインでCDが購入できる
http://www.musicmarket.co.jp/index.php3
http://www.neowing.co.jp/
■試聴/視聴ができる
http://www.tower.co.jp/tower/towercdj.nsf/SearchProductID/SPCU-006
http://www.bcast.co.jp/webevents/musicwire/rocket/index.stm
以上トノさん。
※え~と、それで、over rocketの音について考えてみて一番「繋がっていそう」なイメージなのはMio Fouだなあ、と思い出したので、忘れないうちに書き足しときます、付記の追記。いまひさびさに引っぱり出して聴いてるし~~、ではでは。
Mio Fou情報は、
http://www2a.biglobe.ne.jp/~siteymns/metrotron/disco/compactron27.html
(20010207付記)


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「LIVE Smap」を見てみた!
巷ではSMAPのベストアルバムが売り切れ中だそうですが、こんな時期になんとなく「LIVE Smap」のビデオを見てみました。7,350円! たっけぇ!!
見始めるまえは「さて何分見ていられるかなあ」と思っていたのですが、これが2時間強、いっきに見ちゃったりしてびっくり。けっこう楽しいショーでした。 ほんと、かえのきかない5人組なんだなあ。「平成のドリフターズ」みたいな言いかたを一時期されていたって話を聞いたことがありますが、なんか納得。
それで、音的には、ええと、なかなかいい持ち歌を揃えているんだなあと思いました。印象的な曲が多かった。それで、それらの曲をもっと歌のうまい人がうた うと、ちょっと、あの独特の感じが出ないんだろうなあと思いました。ときどきソロパートでびっくりするような音痴っぷりだったりするのも、チャーミング。 とくに中居正広の「青春」って曲(作詞・作曲:真島昌利って書いてあるんだが、これはブルー・ハーツの曲? よく知らない...)には、意外な感 動。...、しかし「らいおんハート」は歌詞が好きじゃないなあ。曲と全然合ってないようなダンスはおかしいんだけれど。
あはは、ビデオが楽しかったからなんか書こうと思ったのだけれど、じっさいに書くと、こんなことしか書けませんでした。もういっぱいいっぱい。あと書くことがあるとすれば、個人的には「夜空ノムコウ」「ダイナマイト」「FLY」が好きです。おしまい。
「音楽誌が書かないJポップ批評11~ジャニーズ・ポップ、全肯定!?」に書いてる人たちとかって、きちんと分析していて、すごいと思います。いや今回のはほんとうにおもしろかった。
ではでは。
(20010324)

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カンタベリー系レイ・ハラカミは魔可不思議
7月20日、クソ暑い夜、otak-yさんのお誘いで新宿・リキッドルームのCLUB SNOOZERにいってきまして、そこでレイ・ハラカミのライブを体験し、軽いカルチャーショックを受けてきました。いや、まったく予備知識なしで彼の音 楽を聴いたのですが、なんというか、心を持っていかれました。ジャンル的にはテクノというか、エレクトロニカというか、音響系というか、とにかく私がもっ とも疎い最近っぽいものなのだと思いますが、しかしそこで鳴っていた音は「確かに私のなかにあるなにか」を連想させるもの、みょうに懐かしく、そして人な つっこいものでありまして、それはたとえて言うなら初めてアボカドという奇妙な果物(野菜か??)を食したときにその味覚や触感が「私のなかにあるなに か」と結びつき「マグロの中落ち」という結論が導き出されたような、あっ、そのむかしロンドンのパブでトゥイグルスというけったいなお菓子を食べたことが あるんですが、そのときの「私のなかにあるなにか」は「せんべい」という結論を導き出しましたですなぁ。これは最近レコード屋さんでたくさん売っているみ すちるのベスト盤のジャケットが「私のなかにあるなにか」と結びつき「マッシヴ・アタックの『MEZZANINE』とクリソツじゃん!」という結論を導き 出したのとは、ちとちがいますが...。
「カンタベリー系」だと思いました。今日買ってきた『ミュージック・マガジン』の「松山晋也とめかくしプレイ」のコーナーを読んでいたら松山さんもハット フィールド&ザ・ノースの名前を挙げていました。今日買ってきたレイ・ハラカミさんの「red curb」というアルバムのライナーを読んでいたら、今村健一さんが「ロバート・ワイアットやスラップ・ハッピーに代表されるカンタベリー・サウンドに強 くインスパイアされつつも(後略)」なんて書いています。ちょっとほっとしました。オレ的には「レイ・ハラカミはカンタベリー系の優れたミュージシャン」 ということで一件落着しました。
ええと、それでですね、私がレイ・ハラカミのライブを体験してカルチャーショックを受けた理由は、じつは音楽だけでなく、ハラカミさんの演奏形態にもあっ たのでした。古いタイプの音楽好きであるオレは、「...、これもライブ演奏なのか!」と、正直面食らってしまい、踊るどころではなかったです。なにしろ ハラカミさん、ステージの中央で煙草を吸ったりペットボトルの液体を飲んだりしながらなにかを演奏しているのですが、そのなにかがなんなのか、わかんない んだもん┐('~`;)┌。ノートパソコンのようであり、ミキサーのようであり、シンセサイザーのようであるなにかを繊細に操っておられまして(途中一回 だけしくじってノイズを発し「すいません」みたいな表情をしたのがステキでした)、あれは、なに???? つまり、とっても豊かな音に身を浸しているの に、その音がどこからどうやって送り出されているのかまったく見当がつかないという魔可不思議(ちゅうかオレの不勉強だけど~)。
確かにライブ=演奏だったのですよ。いま買ってきた「red curb」を聴きながら書いているんですが、やっぱりこれはレコード(CD)の音。あの場に立ち会って聴いていたのは、躍動感のあるライブの音だったよ なぁ。けっして「あらかじめつくっておいた音をただ流している」じゃなくてさぁ。
ということで、レイ・ハラカミ情報...。
http://base.modd.com/shop/artistinfo.asp?SID=S100&AID=REI+HARAKAMI
ではでは。
(20010721)

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平和集会というより歌の集会だったジョン・レノンSUPER LIVE
2001年10月9日、さいたまスーパーアリーナで「John Lennon Super Live 2001」というコンサートを観てきました。今回は仕事。このイベントは売り上げの一部がアジア、アフリカの子どもたちの学校建設資金になるものなので、 おカネを払っていない私は、参加じゃなく、観てきただけ。出演は押葉真吾、ゆず、白井貴子、和田唱、奥田民生、ムッシュかまやつ、吉井和哉、Acid Test(小林武史、桜井和寿、田原健一)、オノ・ヨーコ(衛星中継)といった人たち。9月11日にアメリカで同時多発テロが起き、さらに10月7日には 「アメリカがアフガニスタンに空爆開始」とのニュースがあり、え~、こんな時期に「愛と平和のジョン・レノン(このレッテルには深く思うところあ り...)」のコンサートか~~、と思いましたが、とにかくいってきました。ちなみに10月9日はジョン・レノンの誕生日、あの事件がなければ61歳です か、ふう。
最初はプレスルームに案内されまして、そこは会場とはガラスで隔てられた、まあ、ちょっとしたラウンジみたいなところでして、ガラス越しにコンサートは見 えるものの、音もガラス越し。プレス関係の人が談笑したり、モバイルしたりしておりまして、私はオープニングのスペシャルセッションである吉井和哉、ゆ ず、押葉真吾による「Come Together」、続く押葉真吾の「Bad Boy」「Cold Turkey」あたりまでそこで観ておりましたが、なんか、みんな、コンサートを観るより原稿を書くことに忙しいみたいで、それで、ひとりのモバイラーの 携帯電話から「男はつらいよ」の着メロ(ちゃ~、ちゃらららららららら~(^Q^)がでっけえ音で流れた瞬間に、オレの頭のなかで「プチッ!」という音が して「ああ、私はこのままここにいると人殺しになるかもしれない...」と思い、押葉真吾の「Grow Old With Me」のあいだにプレスルームを抜け出し、会場の一番後ろのドアからドーム内に進入、最後尾の階段に腰掛けて観ることにしました。ということで私は押葉さ んの歌と演奏はちゃんと聴いていないんだが、この人は誰?
続いて登場したゆずなんですが、私はこの人たちの音楽を聴いたのは初めてみたいなものだったんですが(ゆずと19の見分けがつかない...)、これが、意 外とよかった。「Don't Let Me Down」「Jealous Guy」「All You Need Is Love」という選曲が彼等に会っていたのかも。、とくに「Jealous Guy」は、この曲はブライアン・フェリーもカヴァーしていたような記憶がありますが、なんか、情けない感じがよくてびっくり。
次は白井貴子。たしか、むかし学園祭ロックの女王だった人。たしかちょっとまえまでNHKの「昼時日本列島」で歌をうたっていた人。「Love」 「Watching The Wheels」、そして「Mind Games」。「Love」はひたすら甘かった。「Mind Games」やる根性にはおおっ、と思ったものの、歌詞カード見ながらうたう姿にがっかり。
トライセラトップスの和田唱がソロで登場。この人、不思議な華がありますね~。「Instant Karma!」「Oh My Love」、続いて「1960年代に戻ろうか」というコメントで「IAm The Walrus」を始めた。なんか、いい感じでした。それで、和田さんは「ハッピー・バースディ、ジョン。今日も(ジョンの魂が)会場のどこかに来ているん じゃないの?」 みたいなことを曲の間に言ったりしていましたが、そういうタメ口具合はよかった。「愛と平和のジョン・レノン」「偉大なジョン・レノン」っていうものいい は、まあ、それはそうであるんでしょうが、なんか、オレ的には、オレ内部でジョンレノンに対する反感が高まるですよ。いいけど、べつに。
奥田民生が登場。和田唱とのセッションで「You 've Got To Hide Your Love Away」、その後ソロで「I'm Onry Sleeping」「Hey Bulldog」「She Said She Said」。じつは今回一番楽しみにしていた生タミオだったんですが、存在感はあるものの、あ~、今度やっぱり企画ものじゃないコンサートにいかなく ちゃ、くらいの感じだったかなあ...。でも、声がよく響くのにはびっくり。
DJの赤坂泰彦が登場。ジョージ・マーティンとリンゴ・スターからのビデオメッセージを紹介。続いて、ムッシュかまやつが、押葉真吾とともに 「Little Child」「I Should Have Known Better」を演奏。ムッシュって1939年生まれ、ジョン・レノンのイッコ上。赤坂泰彦は帽子を被っていました。
元いえもんの吉井和哉。この人が出てきたら、会場がきゅうに盛り上がったんだけれど、人気あるんですね~。その吉井さん、よく語る語る。それで、なぜか 「用心棒と一緒に来ました」と言って元TENSAWのベーシスト・鈴木享明とともに「Be-Bop-A-Lula」「I'm Losing You」「God」の3曲を演奏しました。TENSAWのミチアキを観られるなんて思ってもいなかった私は大興奮!! すげ~、かっこいい。吉井さんの 「God」は最悪でした。
ミスチルの桜井和寿と田原健一、そしてミスチルの総合プロデューサーでもある小林武史が今回のイベントのために結成したユニット、Acid Test登場。なんと「Mother」をレディオヘッドの「Everything In Its Right Place」みたいなアレンジで演奏。10数分に渡る長い演奏でしたが、これはなかなかおもしろかった。すごく遠くから観ていましたが、桜井さんって、 やっぱりスターっぽい風情なんですな。テレビやラジオや町中で聞こえてくるとちょっとキンキンうるさいあの声が、今回の「Mother」に関しては吉、 だった感じでした。
当初は来日予定だったオノ・ヨーコが衛生中継で登場。会場の天井近くのモニターに映し出されたその顔を見て、なんか、「AKIRA」のミヤコ様を連想しま した。私は了見の狭い人間でして、ジョン・レノンの音楽はヨーコと知り合うまえのもののほうが圧倒的に好きだったりするわけなんですが、それでも、出演者 と気さくに話をするヨーコさんには、なんか、達観した人間の強さみたいなものを感じました。なんだろーなー、少なくとも「ヨーコのせいでジョン・レノンの つくる音楽がつまらなくなった」という考え(私のなかのどこかにある考えです)は、もう、どうでもよくなったような気がしなくもなく...、いや、でも やっぱりそうなんじゃないかという思いも払拭できず...。
参加者(出演者と観客、オレもちょっとまぜてもらったりして)が「Happy Xmas(War Is Over)」「Real Love~Give Peace A Chance」をシングアウト、そしてアンコールもみんなで「Imagine」。最後の「Imagine」は、なんか、バラバラでおかしかった。奥田民生 は、このシングアウトのあいだ、ほとんどアンチョコ(歌詞カード)を見ながらうたっていたような記憶がありますが、私はそれには好感を持ったりして(白井 貴子が「自分の持ち歌」で歌詞カード見るのとはちがう~)。タミオさんはジョン・レノンのこのへんの曲にはあんまり思い入れがないんだろうなあ、と勝手に 推測。「Imagine」は、アメリカの同時多発テロ追悼番組でニール・ヤングがやったみたいに、一人ひとりがぼそぼそと歌うのが似合う曲だと思います よ、たぶん。
いいコンサートだったのでびっくりです。観にいくまえは、時期が時期だけに、平和集会の会場にきちゃった、みたいな感じになったらどうしよう、とか思っていましたもの。好きな人、好きじゃない人含めて、いろんな人が次々出てくる形式のコンサートをひさびさに楽しみました。
なお会場の出口で湯川れい子さんを見かけました。湯川さんは10月2日のレディへin 武道館でも見かけました。元祖ミーハーロックねえちゃん、いまでも熱心なんですね~。
ではでは。
(2001009)

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BS2でとことん洋楽LIVE~
Elton John/David Bowie/Queen/Radiohead/U2

このところなんだか洋楽の味方、みたいな感じもする「みなさまのNHK」BSなんですが(先日も古い貴重な映像を夜のゴールデンタイムに流してたよう な...)、11月30日の夜~12月1日明け方にかけて「今夜はとことん洋楽ライブ」という嬉しいプログラムを放映していました。これ、英国ロック好き にとってはなかなかそそられるメンツ揃いでございまして、ということで私も事前にビデオ買いにいったりして、けっこうとことん観てみました。あっ、それで 30日はジョージ・ハリスンが死んだというニュースが流れ(実際は11月29日にご逝去なされ)、翌1日は雅子様が女の子を産んだりと、けっこう世の中が 騒がしかったのですが、私はとことん洋楽三昧(洋楽って言葉、なんかおもしろい~)。というわけで、以下だらだらとライヴの感想(っーか、ライヴにかこつ けたオレの各ミュージシャンに対する雑感)。
■19時38分~( 1時間33分)
エルトン・ジョン(2001年/武道館)
あはは、外出先から戻ってこれなくて、私が観られたのは最後の3曲のみ。テレビをつけると(ヅラかぶった?)エルトンが「Crocodile Rock」を歌っていましたが、mmm、いまのエルトンがこの曲を演っても、もはや全然ときめかないなあ、レコードならちょっと聞きたいけれど。あっ、 「Crocodile Rock」のまえは「Your Song」だったみたいで、じつはこの曲は私が生まれて初めて女の子にレコード(ドーナツ盤!)をプレゼントした、なんつう思い出もあるわけですが、しか し女の子に自分の気に入った音楽のレコードをあげたからといってなにか事態が好転したことが過去一度でもあったであろうか? かといえばそんなことはない なあ...、あっ、話題はエルトンの今年のライヴ(しみじみ...さめざめ...)。
「Crocodile Rock」の次の「Don't Let The Sun Go Down On Me」は、それでもさすがにちょっとぐっときました。たしかスタジオ盤ではタワー・オブ・パワーのホーンがぐわ~っと盛り上げる曲だったような。このころ のエルトンのドーナツ盤、けっこう持っています。「Benny And Jets」「Good bye Yellow Brick Road」etc.、あと、エアチェックした曲もたくさんあったはず。好きな曲多いんですよ、「Rocket Man」「Daniel」、最後に好きだった曲は「Philadelphia Freedom」かなあ。しかしこの人、むかしキング・クリムゾンのヴォーカリストのオーディションを受けたことがあるって...、すごい話だ。
あっ、それで、私は4、5年前に生エルトンを観たことがあるんですよ、たしか東京ドーム...。そのときはビリー・ジョエルとのジョイントだんったんです が、会場にはふだん私がいっているようなミュージシャンのコンサートではほとんど見かけないような服装のお客さんが多くて、なんというか、企業の広報担当 の女性中間管理職、みたいな、少し派手目の色のスーツを着こなした風の...。まあ私がこのコンサートにいったのも、某女性中間管理職様に余り券でのお誘 いをいただいたからだったんですが。あっ、ビリー・ジョエルは「Stranger」から「Innocent Man」までのアルバムは、激安中古盤で買い直し集めたいです(LPはあるから...)。なんだかんだいってどのアルバムにも必殺のいい曲が入っているか らな~。
エルトン・ジョンに関しては、いつか「Good bye Yellow Brick Road」以前のアルバムをじっくり聞いてみたいです。ライヴは「Candle In The Wind」で終了。録画しませんでした。
■21時11分~( 1時間18分)
スティング(2001年9月11日/トスカーナにあるスティングの別荘中庭での、お客さん200人だけの公開録画)
貿易センタービル崩落当日のライヴだそう。事件に動揺した風のスティングは、しかし、かっこいいマフラーを巻いて登場! まー、なんてゴージャスな雰囲 気。ドレスリハーサルもやったそうです、ふーっ。この音源は「All This Time」というCDですでに聞いていましたが、一番のお気に入り曲「Dienda」で、ケニー・カークランドに関するコメントをしゃべっていたのが、 ちょっとよかったです。ドラムはマヌ・カッチェで、彼のソロアルバムを私は中古盤で買って持っているのですが(800円くらいだった)、これにはスティン グとピーター・ガブリエルが参加していて得した気分だなあ。
でっ、ライヴなんですが、も~、なんというか、ゴージャス。演奏達者なメンバーとともに、丁寧にアレンジされた過去の名曲がずらり。でも、やはりエルトン 同様ときめかないなぁ...。エルトンにときめかないのはもう自分の中で納得できていたりするんだからいいけれどスティングにときめかないのはまだ自分の 中でちょっとしゃくな気持ちもあり、みたいな気分です。「...Nothing Like The Sun」が出たときの来日公演はチビリそうなほどかっこよかったのに、東京ドームで「音がいい!」と感じた初めてのコンサート。「...Nothing Like The Sun」以降、オレのなかのスティングはずーっと、緩やかにときめかなくなり度を増しています、でも好きなんだが、あの声。3倍速で録画し、いま、確認の ために少し観直してみました。
■22時29分~( 1時間 1分)
デヴィッド・ボウイ(2000年6月27日/イギリス・ロンドン BBCラジオシアター)
じつはあんまり期待しないで観始めたのですが、目から鱗的によかった! もうビデオを4回観直しちまいました。スティング、次のクィーンとともに3倍速ワ ンセットで録ったのがもったいない気分。なんか、コンセプトを練ってしっかり構成されたステージ、ってのじゃなくて、「今日はテレビショーの録画で楽しく やっちゃいます~」みたいな、2000年のボウイの素が出た感じがよかったのですが、その、素と思えそうな部分が、また、えらく妖しく芝居がかっていて、 なんか、すげ~。藤井隆と美輪明宏と豊川悦司と阿部寛を掛け合わせて女性用香水をふりかけたような雰囲気、とでもいえば観ていない人にその異様な感じが伝 わるでせうか? なんか、ご本人、昨年娘が生まれたとかでプライヴェートではすっかり親バカハッピー状態とか。なんちゅう妖しい50代オヤジなんだ!
それで、見てくれだけじゃなくて、歌も演奏もよかったんですよ。テレビショーって感じの、重くない選曲でブイブイ飛ばしていました、古いの新しめなのとり 混ぜて。んでですね、なんといっても「新しい曲をかっこよく聞かす」ことができるベテランミュージシャンっていうのはいいですねー。私は「ロック懐メロ大 会」みたいなのには懐かしさというより哀れさを感じてしまうので好かんです。新曲が光ってこその過去の名曲だよなー。それで今回のボウイなんですが、 「EART HL I NG」に入っていた「Little Wonder」とかの演奏がビシッとしていたから「Cracked Actor」(ぎゃ~、グラムロックの逆襲だ、ピアノはマイク・ガースンだし~、「Aladdin Sane」はリアルタイム・ボウイの初体験で、当時福岡市に住んでいた私は荒江の四つ角にあったパパさんママさんのレコード屋さんでこのアルバムを買い中 ジャケットのでかいポスターをもらおうと思ったらママさんから「おとうさんとおかあさんに訊いていいといったらあげます」と言われて、たしか第2期ジェ フ・ベック・グループのものかなんかをもらってきたような記憶があるのですが、ママさんの判断は正しかったと思います、とかなんとか、曲の感動を曲名の後 の括弧のなかにだらだらと入れてみました)が気持ちよく懐かしく聞けた、みたいな。
ボウイの現役度の強さにはびっくりしました。私、グラム以降のボウイって、ほんの上っつらしか知らないんですが、でも、なんか、この人はこれからまた旬が きそう...。7、8年前の「ファンのみなさまの好きな曲を全部やりますツアー」で来日したときに観たライヴではもーだめだ~、ってな感じにヨレていた記 憶があるのに、ジジイになりながらもミュージシャン的にはまた復活してるもんな~(驚)。この調子でいつ死んでもおかしくない雰囲気を保ったまま、ロック 界最長寿記録に挑戦してほしいです。
■23時48分~(59分)
フレディー・マーキュリー ストーリー(BBC制作のドキュメンタリー番組)
■翌00時47分~( 1時間13分)
クイーン(1986年/ウェンブリー・スタジアム)
うーむ。私はクイーンについては「自分が好きなとこだけつまみ食いファン」なので、この時期のライヴはえらくしんどかったです。3曲目に演った 「Seven Seas Of Rhye」の、レコードとのあまりのちがいにコケてしまって、以後はぼんやり観賞(声出てねーじゃん! ギター薄いじゃん!!)。オレ的にはフレディ様の 髪の毛が長いのがクイーン...。このライヴは正直、ジャーニーやスティックスのコンサートを見せられているようだ~~。いやね、注意深く観ていると 「ぎゃ~、ブライアン・メイだ~」ってなギターの音色やフレーズ、フレディ様らしい掠れ通るアッパー系の声の片鱗も聞こえてくるんですが、でも片鱗。3倍 速で録画しいまちょっと観直していますわい。
クイーンは分厚いギター・オーケストレーションとコーラスワークが好きなんです。オレはクイーンは「オペラ座の夜」までしかちゃんと聞いたことがないの (って、威張ってどうする? なんか、「オレは荒井注のいたドリフターズしか見たことないの、って言っているような感じか?)。あっ、でも、なんだっけ、 ジョン・ディーコンのつくったドッ、ドッ、ドッっていう、ディスコみたいな曲(「Another One Bites The DusT」というのだと、今回知りました)がかっこよかったです。
それにしてもフレディ様って、なんというかー、不思議な人なつっこさを持ったショーマンだったんですね~。オレ的には「Bohemian Rhapsody」までは、あの大仰さがマジに聞こえてOKだったんですが、それ以降は「ばいしく~、ばいしく~」「うぃ~~、あざちゃんぴょん」「てを とり~、あって」なんてフレーズがラジオ(ガガッ)から聞こえてくるとギャグに感じられて、それで遠のいてしまいました、クイーンから。あっ、それで、ラ イヴに先立って放映された、フレディの生涯を丁寧に追ったドキュメンタリー番組は、ものすごくよかったです(妹さんがフレディ似~)。番組に愛が感じられ て...、クイーンって英国コクミンから愛されているんだなあ、なんか、「英国のサザンオールスターズ」ってなものなのか? でも今回観た時期のライヴは 英国のサザンっちゅうよりアメリカの産業コミックバンドみたいだったぞ、んでもってフレディ様が死んだ日は、私はちょうどロンドンにいたんでありまして、 ラジオは前日までマイコーの新譜の曲、たぶん「デンジャラス(ノッチ)」だと思う....、スラッシュがギター弾いたとかいうやつ、ばかりかかっていたの に、きゅうにクイーンがガンガンかかり始めたのを覚えています(ガガッ)。
■翌02時00分~( 1時間11分)
レディオヘッド(2001年4月28日/パリのカナルプラス・スタジオ)
いちばん笑っちゃったのは番組の進行役のあかさかさん(帽子を被ってないぞ!)とご意見番の東郷かおる子さんのやりとりでして(あっ、NHKさん、あので すね、「雅子さま入院」とかいうニュース速報テロップはこの人たちの会話のときに入れりゃいーじゃん! プンプン!! なにもスティングやボウイの顔に貼 り付けるこたぁねぇだろ(-_-メ)凸)、 東郷さん曰く「レディオヘッドは90年代のイギリスでいちばん成功したグループですね、まあ、オアシスっていうグループもありましたけれど...」。あは は、オエイシスはもうないんですか? ビートルズを超えたバンド、オエイシス(これはどこのだれが言ったの? 最近話題になった「Show The Fiag」みたいなもん??)。オエイシスはオレ的にはスティアーズやラーズと同じくらいの、ちょっといい曲つくる90年代の英国バンド。オエイシスは、 うーん、オエイシス持ち上げ記事満載の音楽雑誌を見るにつけ、「ああ、このへんの雑誌はもうオレのような読者を対象にしていないのね~、いいや、他の方法 で音楽情報を集めよう、と」思った90年代半ば...。
それでレディオヘッドのライヴですが、じつは私は10月2日の武道館公演を観ていまして、そんで、この番組でのライヴでもだいたい同じような感想を持った のですが、やっぱオレは「KID A」(「木田」と呼ぶファンがいるらしいことを最近知りました)というアルバムにガーンとやられたんだなあと確認した、って感じかなあ。ええと、とくにこ の番組では「KID A」と「AMNESIAC」の曲が中心でして、武道館では「KID A」以前の曲もたくさん演っていたので、それはそれでライヴギター&歌バンドとしてのレディオヘッドの魅力を再確認することができたりして(なんか、文章 がよれてきた...)、それでですね、「KID A」と「AMNESIAC」からの曲で構成された今回の映像のトム・ヨーク(タンバリンの達人)は、デパートのおもちゃ売り場で好きなものを見つけたのに 親が買ってくれなくてむずかっている子どものような痙攣具合がよかったです、「Idioteque」とかとくに。あと、鼻におできができてた。あと、あと 「Everything In It's Right Place」でドラマーがレモンみたいなマラカスを黙々と振っていたのもおかしかった。通常速度で録画、4回観直しています。観るごとに音のバランスのへ んちくりんさ(ベースがブーストして太鼓が遠くでトコトコetc.)とか、おもしろかったりするんだけれど、でも「木田」の、My Bloody Valentaneの「Loveless」にも通じる幽玄な世界ほどには没頭できないオレは、たぶん一生プログレ蒙古斑が消えない体質...(あっ、べつ にライヴはレコードを忠実に再現しろ、とは思っていませんよ、単にレコードの音とライヴの音のどっちが好みかというだけのこと)。
■03時11分~( 1時間49分)
U2(2001年6月8日/ボストンのフリートセンター)
U2は私にとってつかず離れず、なんとなく長く聞いてきたバンド。アルバムはわりと持っていますが、好んで聴いていたのは「Unforgetable Fire」くらいまで。「Josyua Tree」で立派なバンドになっちゃってからは「ライヴがいい」との評判は聞いていたものの、足を運んだことも映像体験したこともなく、つまり今回の番組 でまとまったライヴを初体験しました。いや~、「あっ、U2ってチャリティーバンドでしょ?」なんて、勝手に思っていましたが、御見逸れいたしました m(_ _)m。今回のツアーは「初期のロックバンドのような音に戻った」とか、どこかの情報で聞いていましたが(そういや新譜も聴いていないし...)、ほん と、ストレートにガツンときましたよ。えー、U2ってこんなにすごいバンドだったんですか~~。出てきたころは、オレ的には、エコー&ザ・バニー メンに比べるとなんかもっさい、くらいの感じだったのにぃ。
エッジのギターはほんとうに表情豊かです。クイーンのブライアン・メイの演奏にはどこかソロパート>バッキングというにおいが残っていましたが、エッジの 演奏にはそれがないなあ~。アンサンブルのなかの「鳴り」にだけ気を配っているという感じ(パンクやニューウェイヴの蒔いた種がそれまでのハードロックと かのギターのポジションを壊してエッジやポリス時代のアンディー・サマーズみたいなギタースタイルを生み出したんだな~、みたいな懐かしいことを思い出し たり)。それでエッジ先生、1曲ごとにギターを換える換える! SG、エクスプローラー、ゴールドトップのレスポール、リッケンバッカー、グレッチ、スト ラトキャスター、テレキャスもだったっけ(記憶曖昧...)? すごいのはそのギターの数じゃなくて、なにを弾いても全部ちゃんとエッジの音だったりする ことだと思ったんだが、なんか、個性的なギタリストって、けっこうギターの器種(←こんな言葉ある?)に依拠しているような印象って、ありません??
なんか、オーソドックスなロックコンサートだったけれど、燃えたなぁ。「ZOOROPPA」とか「POP」のころの、もっと音的にも視覚的にもアヴァン ギャルド(!)だったらしいライヴも、観たくなりました(日本のステージでボノが小錦にステージから電話かけた、とかって聞いたんだけど、ほんと?)。  そんで、古いオレ的には「I will Follow」のイントロが聞こえてきたあたりから血がグーッとたぎり出し、「Sunday Bloody Sunday」のあの印象的なドラムでまず爆発☆。サビを一緒に歌ってました。さらに、わかっちゃいるけど~、って感じで「Where the Streets Have No Name」のイントロに持っていかれて大噴火☆☆。う~、ロックのカタルシスう~。「Bullet the Blue Sky」のアメリカくそったれパフォーマンス、「With or Without You」の添い寝パフォーマンス、「The Fly」のベタッっていうパフォーマンスと、みるみるボノの煽りにはまっていく自分が情けなくも幸せでした。2時間弱のものを、すでに4回観直し、3倍速 録画が悔やまれます~。
いや~、こんなのまたやってほしいな、NHK。今度はもうちょっと新し古めのところで、 たとえばストーン・ローゼズ、スミス、エルビス・コステロ、ブラー、マイ・ブラディ・ヴァレンタインとか(...、NHKっぽくない...)。
ではでは。
(2001205)

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自由で平等!? なiTunes
しばらくこちらの部屋にお邪魔しないうちに、って俺の部屋なんですけど、しかも「しばらく」っていうのは、ビートルズが初のシングル「Love Me Do / P.S.I Love You」をリリースしてからアルバム「Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band」をリリースするまでくらいの期間のことを言っているのですが、ともかく、しばらくご無沙汰していましたあいだに、私の音楽を聴く環境はすっかり 変わってしまいました。私が変わるくらいですから、きっと世の中の多くのかたもすっかり変わってしまっていることと存じます。
俺はあいかわらず6連チェンジャーのONKYOのCDプレイヤーをデスクのそばに置いています。2003年くらいまでは、その6枚のCDトレイにつねにな にがしかのディスクを載せてぶんまわしており、からのプラスティックケースやデジパックがその近くにとっちらかっていたものです。ラックにかたづけないま ま出してある「最近聞いたり、これから聞こうとしているCD」がその周囲を固めていて、もしロック好きな空き巣でも入ってくれば、俺の最近の音楽傾向が一 目でばれてしまう感じだったのですが、しかしところがいまは、デスクまわりにCDがあるとすればそれはアマゾンから届いたばかりのまだデジタルファイル化 していないものくらいでして、まあロック好きの空き巣ならそれを見ても俺の最近の音楽傾向を見抜けるはずですが…、ええとそんなことではなくって、つまり 私はたぶん今年、CDプレイヤーを「オリジナルでつくったCD-Rの動作確認のため」くらいにしか使用していないってことです。つまり俺の好きな音楽はほ とんどすべてiTunesのなかに取り込まれ、CDというパッケージ・メディアはフェティッシュなコレクターズ・アイテム&バックアップメディアになっ た、と。
って、いまや多くの人にとってあたりまえの話を俺が声高に語ってどうなる!?
堀井憲一郎さんの「若者殺しの時代」という本のなかに携帯電話についてのおもしろい考察があります。ちょっと引用してみますと、
> 昔の一般電話にはもう少し肉体感覚があった。
(中略)
> 電話はもともと、ひとつの可能性でしかなかった。かけたからといって、相手と話せないことはごくふつうに起こった。そういうときは、あきらめた。
(中略)
> 携帯電話は、もっと根本的な緊張を強いてくる。 身も蓋もない。相手がでなければ、拒否されてる可能性が高いのだ。電話をかけただけで、そんなことまで知らされてはたまらない。
きっと数年後にはここで堀井さんが言っていることも古色蒼然とした言説になっているのだろうし、もはや一般電話の肉体感覚なんて知らない人も多いと思いま すが、でも使用する機器の進化によって人と人とのコミュニケーションが変わったってことの現時点でのいい例だと思ったのです。でっ、iTunesなんです が、これは人間と音楽とのコミュニケーションを取り持ってくれているわけなんですが、携帯電話とちがって、こやつはけっこう人にも音楽にもやさしいんじゃ ないかと俺は思っているわけなんです。
CDをチョイスして聞いていた時代は、CDラックのいろいろな場所に「その存在をすっかり忘れてしまった音楽」が少なからず生息していました。なんか、聞 かないから隅に追いやられる。かたづけのさいにどっかに紛れて、そのままないものとして俺の記憶から消えている。人間はふつう残酷ですから、いろんなこと を都合よく覚えているとともに都合よく忘れていって現在の生活を成り立たせていたりするものです。一度忘れられてしまった音楽は、思わぬ再評価ブームとか がないかぎり、かなり不利な立場に置かれて生きていかなければなりません。俺なんか個人的にはそうとうつきあいのいいほうの音楽好きのような気がしていま すが、それでもiTunesを使い始めるまで、数年以上放置プレイにしていたミュージシャンとか、けっこういたし。
ここでiTunesの機能特性とかを細かく書く気はしないんですが、少なくとも手持ちのCD音源を一度iTunesに取り込んでしまえば、音楽たちはかな り公平な扱いを受けます(iTunes Music Storeなどでの音楽購入はいまのところほとんどしない古いオレです、なんか、ファイルの使用制限があるし、まだ割高感があるし、そもそも聴きたい曲が 少ないし~)。たとえばライブラリでシャッフルに設定していれば、俺の現時点での好き嫌いや気分に関係なく(って言っても、とりあえず「買って聞いてみる 気にはなった」という程度には最初から好きな音楽ばかりではあるんですが)、今日の俺の1日を彩るチャンスがあるわけです。iTunesって、なんて自由 で平等なデジタル・テクノロジーなんだ! って、なんか10年くらい前に読んだ山川健一のクレージーなMacintosh礼賛本みたいなこと書いてるな, オレ。
かつて自分の好きな曲ばかりをベストテープに集めて聞いていた俺はいつしか「自分のつくれるベストテープの限界=自分の好きな音楽の種類の限界」を意識し て蛸壺的閉塞感に悩んでおりましたが、いまは「スマートプレイリスト」とシャッフルの機能を工夫して、「毎日がわけのわからないベストテープ」状態の環境 を楽しんでいます。現在のiTunes内曲数(正確にはLaCieの外付けHDD内にある音楽ファイル数)6万5433曲、合計時間196日8時間5分3 秒。ああ、いまいちばん長く放置されている曲を「最後に再生した日」で調べたらMichael McDonaldの「If That's What It Takes」に入ってる「Love Lies」でした。2003年5月5日の午後5時45分からご無沙汰。なんか、意外にメジャーどころが穴にはまっていたのでいま救済中です。
まだ書きたいことは山ほどありますが、まあ、ぼちぼち。
ではでは。
(20061218)



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アナログ音源のデジ化と「音を出す」
昨年12月に「Sound Blaster」というアナログ音源をデジタル化してMacに取り込むための機器を買いまして、以後デスクワーク中や就寝前などは粛々とアナ→デジ作業に 励んでおります。おかげでここしばらくは新譜や中古盤を買うペースががくんと落ちまして、散財せずにすんでいます。ひどかったよな~、昨年の11月ごろの おれは。なにかにとり憑かれたようにAmazon(含むマーケットプレイス)でCDを買いまくって、ついでに気にくわないレビューを見つけてはかたっぱし から「参考にならない」チェックを入れまくって。燃えないゴミや再資源ゴミの日に出す段ボールやビニールのぷちぷち(CDケースを包むやつ)の量が、尋常 じゃなかったです。ついでに11月末締めのクレジットカードの明細が、とんでもなかった!
1月中旬までにカセットテープ音源のアナ→デジ作業はほぼ終えました。最初はCDに焼いていたのだけれど、途中でばかばかしくなって、専用の外付けHDD を2台買ってそれにぶち込みました。テープでしか聞けない音源なんてそんなにないかと思っていたら、出てくる出てくる! FMで放送された吉田美奈子の Pit Inや郵便貯金ホールでのライブ、チャーWithゴダイゴのスタジオライブなんてものから、イカ天ショップで買った梅毒ジェラシーの「ワニよがり」とか、 あとはあの「東京タワー」にも出てきた「谷村新司とばんばひろふみの天才秀才バカコーナー」を自分で録音しまくっていたもの、さらにむかしむかしやってい たバンドの練習やコンサートでの音源、さらにさらに超恥ずかしいのは、(...まあ、むかしはカセットテープが高級品だったってこともあるんだけど)、い ろんなテープの終わりあたりから突如現れる「おれのオリジナルソングのデモ音源」...。これは、むかしならその場で消滅させてしまいたいようなシロモノ ばかりなのですが、いまのおれは「恥ずかしい過去の自分」とも客観的に対峙して楽しめるほど厚顔ですので、いちおうデジ化しました。たいがいの曲で私は 「世の中とも女の子とも自分とも折り合いがつかない~」ともがきながら歌っていました(つまらん若者。でも、まあ、いまと同じだ...)。
今月に入ってからは、LPレコードのデジ化に励んでいます。もう余生も長くないので「早くCD化されないかな~」という他人任せはやめました。過去にCD 化されていてもいまは入手困難でマーケットプレイス等でプレミアがついているやつも、なんか、「もういいですよ~」って気分です。最近発売された 「Sound It! Ver.5.0」をシロウトなりに使ってノイズ補正を施せば、そんなに悪いものでもないし~。だいたいおれはむかしからカセットテープ&ラジカセ で音楽を聴いてきたので、音質はよくわからないのです。それに音質と音楽の質はまったく関係ありませんですし~。こちらの音楽に臨む気合いが入っていれ ば、いにしえのブートレグからだってなにかを感じとることができたじゃないか~~(って、だんだん負け惜しみみたいになってきた)。
ということでして、ここ数日でめでたくデジ化されたのが、以下の4枚。

Method In The Madness/Gardening By Moonlight


2 by 2/Blue Zoo


Cyril/Cyril Havermans


Wise After The Event/Anthony Phillips
ニューウェーブとプログレが2枚ずつだったのは偶然です。Gardening By MoonlightはUltravoxのお仲間のようで、これはなかなかいいです。Blue Zooは、なんてことないといえばなんてことないですが、なんか、憎めない。Cyril Havermansは、元Focusの人でサイケフォークみたい。Jan Akkermanがギターを弾いています。そしてAnthony Phillipsのは、Amazonで2万円以上しているので、頭にきてデジ化です。
あ、そして音楽のことで、もうひとつ書いておきたいことがあるのでした。じつは不詳私、むかしの音楽仲間と明後日に音を出してきます。身内ばかりが集まる 小さなライブハウスでのコンサートですが、人前ででかい音を出すのは、...10年ぶりくらい?? 最初は音を出している仲間のスタジオに遊びにいってい る感じだったんですが、だんだん本気度が増してきまして、持っていくアタッチメントもオールインワンの簡易型からじょじょにグレードアップ...。壊れて いたダイナコンプは修理し、ディレイを買い、シールドもいいものに。いまでは、左手の指先が心地よい鈍さに固くなり、爪の長さまで気になります。足元に5 つもアタッチメント並べてギターを弾くなんてなんということだ、とも思いますが、でもこれでも少ないんです、見よ! 仲間の1人の、 この本気っぷり!
すっかり耳年増になってしまった私は、音を出すことについては現メンバーの中でひじょうに不安定分子です。技術的におおざっぱで稚拙なんですよ~。そのく せ曲のエンディングではやたらとフィードバック轟音を出したがって顰蹙を買うし。ああ、ステージで頭が真っ白になってKid Charlemagneの歌詞がすっ飛んでしまわぬよう、明日は仕事の移動時間もiPodが手放せそうだ...。
ではでは。
(20070208)
ぁあああ、それでじっさいに音を出してきてみまして、いまはやってみてよかったと思っています。なんというか、気持ちのよい草野球の試合を終えた後のよう な、そんな気分。バンドに誘ってくれた仲間&一緒に音を出せた仲間に、感謝の気持ちでいっぱいです。そして「アホーッ!」と声をかけてくださった お客さまにも、「最高の褒め言葉をどうもありがとうございました」と、お礼!

ではでは。
(20070212付記)


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Steve McQueen Legacy Editionに感涙し、つい1980年代のSSWに思いを馳せる
はぁ~、数日前に近所のレコファンで見つけて買ったまましばらく眺めていただけだったPrefab Sproutのセカンドアルバム「Steve McQueen」のLegacy Edition、やっと封を切ってiTunesに取り込み、聞いています、はぁ~。Disc2ではPaddy McAloonが2006年に再アレンジして録音した、同アルバム収録曲のうちの8曲が聞けます。まあ、オマケというかご愛敬みたいなものなんですが、お れはこのオマケだけで今年1年中泣いていられそうです...。Wendy Smith(ジャケットでバイクに乗っている女の子)の声が聞こえないという、その事実だけで泣けます......。「Desire As」の新アレンジとか、こんな言葉はないと思いますが「泣死」してしまいそうです。
アナログ盤の「Steve McQueen」は1985年の夏、新宿アルタのシスコでディスプレイされていたものをジャケ買いしました。Prefab Sproutの「Steve McQueen」って、なにそれっ? どっちがアーティスト名?? って感じでしたが、ジャケットが「絶対アンタに聞いてほしい」光線を送っていました。 家に帰って針を下ろすとヘンテコなマカロニウエスタンが聞こえてきていよいよなんすかっ、これ??? だったのですが、2曲目のイントロの音で持ち直し、 あとは一気に4半世紀経ちました。ちなみにファーストアルバムの「Swoon」はその年の秋に渋谷の西武百貨店の地下にあったレコード屋(たぶんDisc Union)の「西武ライオンズリーグ優勝記念バーゲン」みたいなのの段ボール箱の中で発見して買いました。サードアルバムの「From Langley Park To Memphis」は1988年の半袖を着ていた頃に青山のパイドパイパーハウスのディスプレイ棚で発見して買いました。4枚目(と言っていいのか微妙な位 置づけ)の「Protest Songs」は六本木のWAVEで買いました(これは最初がCDだった、のちにアナログ盤購入)、季節は...、なんか短パンを履いて買いにいった記憶が あるけど不明...、調べりゃわかることですが、いまの私には記憶が大切です。ヨルダン以降はいつどこでなにを買ったか、そういうことはあんまり記憶にな いし、そんなにおれ的に大事なことではありません(って、なにが言いたいのやら...)。
この部屋の1990年代の10枚/洋楽編っ てとこ(これもすでに7年前の記述)で、おれはおれがそのさらに10年前に選んだ「1980年代のベスト10」について書いていまして、そこでは 「Steve McQueen」を第2位に挙げていますが、いまは、もう、ダントツの1位でいいです(1位の2人組はその後ロシアの女子高生のプロデュースをしていたり 邪悪なえいじあ再結成を繰り返したりしているようですが...)。そして「あの人のその後、あの人のいま」みたいなことは全部とっぱらって1980年代に 思いを馳せてみると、私としては「いいシンガーソングライター(SSW)がたくさんいた時代だなあ」ということです。はぁ~、「Steve McQueen」のLegacy Editionを聞いていたら、いまも聞き続けている「強烈に1980年代の記憶と繋がっている」アルバムのことを思い出してしまったんですわ。
ということでして、2007年初夏の時点での、1980年代の素晴らしいシンガーソングライターのアルバム10選。1位はこれに触発されて「ベスト10 ごっこ」したくなったということで「Steve McQueen」でありますが、以下は順不同。17年前のセレクトと、じつはそんなに変わってないんですが~。

Steve McQueen/Prefab Sprout


Fried/Julian Cope


The Dream Academy/Dream Academy


Night And Day/Joe Jackson


Solitude Standing/Suzanne Vega


Human's Lib/Howard Jones


Parade/Prince & The Revolution


The Golden Age Of Wireless/Thomas Dolby


Cover/Tom Verlaine


North Marine Drive/Ben Watt
ではでは。
(20070509)
......mmmmmmm、ではでは、では終われませんでした。なぜかというと、上記のような10枚のアルバムをアップした後、おれの頭の中で「なんで オレのことを忘れたんだ!」「私のことをそんなに軽く見ていたなんて、ショック!」といった、選ばれなかったミュージシャンからの非難の声が渦巻いている のです~。ということで、ベスト10なのにあと5枚だけ追加。まあ、好きなアルバムのジャケットは何枚見ても飽きないし~(究極の引き籠もり一人遊びでし た)。

A Walk Across The Rooftops/Blue Nile


Song/It's Immaterial


Be Bop Moptop/Danny Wilson


Cupid & Psyche 85/Scritti Polliti


Tender Pervert/Momus
(20070509その2)


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よもやアルゼンチンの音響ロックに不意打ちを食らうなんて...Mono Fontana「Cribas」
ははは、長く音楽を聴き続けているとときどきこういう不意打ちを食らうからたまらんのです。数日前に買ったMono Fontanaという人の「Cribas」というアルバム、もっかどっぷりはまっています。これはきっと一生聞き続けるだろうな、もうびっくり仰天モノ・ フォンタナ(ノ_-。)。
このミュージシャンを知るきっかけになったのはMMです。『THE MUSIC MAGAZINE』2007年7月号P86~P87の小山守さんの記事。最近のMMときたら「特集=曽我部恵一とサニーディ・サービス」とか「特集=東京 スカパラダイスオーケストラ」とか、そんなことやってて、そんな人たちの音楽を聴いたこともないオレは「なんでこんなものに700円もの大金を払わねばな らぬのか...」と、ひじょうにつらい気持ちを抱えたままFLASH DISC RANCHであったりDisk Unionであったりレコファンであったりのカウンターに佇むわけですが(ちなみに今回Mono Fontanaと私を媒介してくれたMMの特集は「特集=ボブ・ディラン『ドント・ルック・バック』」でして、これまたオレが1枚もレコードを持っていな い人の特集ですがな...)、だがしかし、ここ最近のMM、神は細部(ってほど細部でもないが...)に宿っている。買って数日後にパラパラとめくってい てなんとなく気になる記事、とかにおれ的アタリ! が潜んでいたりするのです(「特集=ビョーク」の号でAqualungの「Memory Man」を知ったりとか)...、って()多すぎで読みにくいし今回はMMの話じゃないですから~。
なんも知らぬままMono Fontanaを体験してびっくりしちゃったわけですが、この人は「アルゼンチン音響派」というジャンルで語られているようです。そんな言葉は初めて聞き ました。こういうことは最近少なくなくて、自分ではロックだと思って聞いていたレコードがシンコー・ミュージックの「DISC GUIDE SERIES ♯26 emo」って本にけっこうたくさん紹介されていて「エモ!? ベンチがアホやから野球がでけへんのか? 東京乾電池か?」ってことになった り...Mono Fontanaの話です、今回は。小山さんの記事の中に「山本精一はフォンタナのことを『音を、いわゆる音楽という概念で捉えていない』と言っていたが、 まったく同感である」という一文がありますが、Mono Fontanaの音楽に触れた後にこの部分を読み返して、すごくすっきり理解できました。おれはおれのロック体験でしか語ることができませんが、なんとい うか、音楽的には全然似ていませんが、ジェフ・ベックがギターを音楽(楽曲)の構成要素として弾くのではなく、楽曲の中におけるギターという「音の出るも の」の鳴り方だけに集中して弾いているのと似ているような、そんな感じかなぁ...あっ、Mono Fontanaさんはこの「Cribas」というアルバムではおもにピアノを鳴らしています。
突然ふらりと夜の街頭に現れたビル・エヴァンスがなぜかそこにあったピアノを勝手気ままに弾き始めたがそれは聴衆を意識したバスキング的なものではなく もっと彼の中だけでいっちゃってる感じの演奏であり街ゆく人はその演奏を誰も気にとめないのであったという状況を収めた映像が再生されているのだがあいに く私のいる場所からは映像が見えず音だけが聞こえている、というような感じのアルバムだと思います、「Cribas」。生きているうちに聞いておいたほう がいいと思います。
ではでは。

Cribas/Mono Fontana
(20070601)


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ブラコンな日々に、そろそろお別れ
昨年の秋くらいからここんとこちょっとまえまで、なんだかえらくたくさんのブラコンのレコードを聞いてMP3ファイル化していました。ものごころついてか らずっ~と白物家電もとい白い系の音楽を聴き続けているオレですが、じつはある時期の黒物音楽だけには、ちょっと詳しいんですよ、って筋金入りのロイクの 人からすれば「舐めンじゃねぇぞ~!」ってな程度ですがぁ。
ブラコン。Black Contemporary Musicでしたっけ? アメリカのチャート誌のジャンル分けで、そんな名前がついていたような記憶があります。個人的にはアホくさいディスコてぃっくな ソウルのブームが一段落した後に流行り出した、クールな質感のソウル・ミュージックという印象で、私が好きなのは1980年代前半あたりのもの。ちょっと チープでぶっきらぼうなシンセサイザーが使われているやつがツボです。この時代ってシンセがものすごいスピードで進化していたらしいので、ほんの数年で音 楽の質感が変わっているんだよなぁ~。私が「いい感じ」と思っていたシンセの音を「あれま、ずいぶんゴージャスになってきたな...」と最初に気づいたの は、いま思い返すとJames Ingramの「It's Your Night」(1983)あたりだったような。その後ブラコンのシンセ音はどんどん煌びやか(うるせェ)になり、80年代後半になると、プリンス一家や P-Funk一家みたいに露悪的に「ブギュ~」と使用したもの以外はカンベンしてくださいよ~、って感じでした。けっきょく80年代前半のチープでクール なシンセ・サウンドは、白い系の知恵者(グリーン・ガートサイドとか、ロバート・パーマー...というか後年いろいろわかってくるとルパート・ハインと か、あるいはトーマス・ドルビーとか)がじょうずにすくいとっちゃったような気もしなくもなく、あっ、このへんのことはいつか、シンセサイザーの歴史その ものに詳しい知人に会ったときにでも、いろいろ教えてもらおうっと!
私が80年代前半のブラコンにだけちょっと詳しいのには、明確な理由があります。その当時、約1年くらい貸しレコード屋さんでアルバイトをしていたからで す。東京都町田市(東京都!)の小田急線町田駅近くの本町田団地循環バスの停留所の近くにあった「タイム」(「TIME」か「たいむ」だったかも?)とい う店。両隣がたしかクリーニング屋さんとヤマザキデイリーストアで、斜め向かいの「アリス」という喫茶店はアイスアメリカンとジャーマンコーヒーとカレー ライスとコッドローサンドがとてもおいしかったです。中華「三番」は、もうなかったと思う...。あっ、町田の貸しレコード屋さんというと世間では「耳が 聞こえなくなっちゃった歌姫」を擁するレコード会社のところが有名なのかもしれませんが、あれはどこにあったんだっけ? オレはJRの線路の向こう側の団 地の入口にあったプレハブの貸しレコード屋さん(「ヒットパレード」??)は、好きだったんだけど。
元関係者(ったって、バイト)が言うのもなんですが、「タイム」はなかなか営業努力のスバラシいお店でしたよ。とにかく輸入盤をたくさん扱っていて、私ゃ そこでブラコンの勉強をさせてもらったわけです、カネもらいながら。毎週何曜日の午前中だったか忘れたけど、店長さんがレコードを買い出しにいく日があっ て、その日の午後の町田には、数時間前に六本木ウィナーズ(航空便で日本最速に輸入盤が届く店。当時の六本木のディスコのDJさん御用達だったらし い....)で店頭に並んだばかりの新譜が鳴り響いておりました。その方面には疎い、あまり店員として使えない私ではありましたが、でもいろいろ鳴り響い てりゃ、まあ、少しは覚えるし、いくつか好きなものも出てくるってもんです。
バイトを辞めた後も「タイム」にはちょくちょく顔を出し、ネクタイを締める身分になったおかげで若干厚くなった財布(聖徳太子がいたりいなかったり程度) を開き、流行りモノとしての役目を終えたレンタル落ちの中古盤をごそごそと買い込んでおりました。冒頭に書いた「MP3ファイル化した、なんだかえらくた くさんのブラコンのレコード」っていうのは、その頃の中古番買いのさいにも買い損ねちゃった、店でかかってはいたけどちゃんとは聞いたことのなかったも の、およびその関連がほとんどであります。「タイム」が閉店しちゃったのは、いつだったっけなぁ(遠い目...)、1986年頃!?
いまごろになって過去の記憶を頼りにレコード屋さんの「ソウル・ファンクコーナー」(この名前のところによくある)を軒並み見てまわる日がくるなんて、思 いもしなかったです。と言いつつ、しょせん「タイム」でのにわか知識しか持っていない私は、めぼしいモノをもうほとんど発見してしまい、そろそろブラコン な日々からお別れしかかっていますが...。当時、「かなり最速」であった「タイム」の品揃えは、でもしかし決して「かなり珍品」ではなかったことも、レ コード屋さんまわりの過程でわかりました。だいたい、500円~1500円で手に入るんだな、盤質とか気にしなければ(気にしろよ!)。
ブラコンは90年あたりには廃れて、以後の黒物は「R&B」なんでしたっけ? 私の現在のiTunesでのジャンル分けでは、めんどくさいので、 黒物は全部「R&B」です。Otis ReddingもSly & The Family StoneもGil Scott-HeronもOhio PlayersもWarもAverage White BandもVan McCoyもBrothers JohnsonもQuincy JonesもShotgunもNiteflyteもAndre CymoneもSadeもPublic EnemyもDe La SoulもRandy CrawfordもTerence Trent D'ArbyもCaron WheelerもJamaica BoysもMC SolaarもSealもArrested DevelopmentもTLCもCypress HillもJamiroquaiもMe'shell NdegeocelloもMisty OldlandもChantay SavageもBusta RhymesもPuff Daddy & The FamilyもMoodymannもCraig DavidもKanye WestもLupe Fiascoも、みんな「R&B」...(そんなことでいいのか!?)。
ということで、2000年代も後半になってブラコンな日々を送ったことの記録として、とびっきりチープでクールなブラコンを何枚か...。

「Second To Nunn」/Bobby Nunn (1982)
「She's Just A Groupie」のぺらぺらなシンセの音、かっこいいです!

「In The Heat Of The Night」/Imagination (1982)
たしか英国産のブラコン。ベースの音とファルセットヴォイスが、いいなぁ。

「Too Tough」/Angela Bofill (1983)
ブラコンの歌姫になったアンジェラも、なかなかいいです、う~あう。

「Pump The Nation」/Attitude (1983)
今回のブラコン巡業で発見した逸品! 音はまるっきりThe Systemの1st、2ndの世界で、みごとにはまりました。

「Live And Let Live」/Aurra (1983)
こういう言い方もなんですが、ブラコンにしてはかなり重めでファンキー。

「Would You Like To Fly」/Ingram (1983)
ちょっとフュージョンぽいブラコン。きっとすごく無名な人たちだと思います~。

「Kashif」/Kashif (1983)
軽くて薄くて、聞いていて気持ちいいです。「タイム」の飾り棚でも光ってました。

「Glasses」/Ozone (1983)
「Strutt My Thang」の捻れ具合といやらしいカッティングがクセになりました。

「Choice」/Central Line (1984)
これも英国ブラコンのはず。音はけっこうストイックな感じ。

「Just The Way You Like it」/S.O.S. Band (1984)
べつにブラコンで括らなくても、かっこいい~です。そろそろ音がチープでなくなってきてます。

「Have A Good Time」/Valentine Brothers (1984)
1stの曲をミック・ハックネルがかっこよく歌っていた兄弟の2ndで、これもグ~(最近よく見るおばさん芸人風)。

「Windjammer II」/Windjammer (1984)
なんだかシャカタクみたいでへにょへにょなんだけど、「Tossing And Turning」って曲がクセになります。

「Mazarati」/Mazarati (1986)
プラコンっていうよりブラックロックな、プリンス一家の徒花。これを閉店間際の「タイム」で買った記憶があるので、最後に入れておきました(あくまで記憶...)。
ではでは。
(20080124)


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CD...!? もう音源ファイルでいいかも
え~と、またずいぶんあいだがあいてしまいましたがあいかわらず好きな音楽を聞くくらいしか楽しいことのない日々を送っていまして嫌いな音楽はあいかわらず聞くに堪えないです、とくに日本の音楽は歌詞の意味とかがすぐにわかっちゃうから耐え難い...。
2010年の5月ももう終わります。この週末はついているテレビ(見ているっていうか、最近はたいがいTumblrのハート“Like”マークつけながら 流してる)から「でぃがでぃんでぃん」と神経を逆なでされる声が何度も何度も何度も聞こえてきて...こういうの、メディアレイプっていうんじゃないの?  ...でっ、いま調べてみたら...、
“このシングルはNTTドコモの新キャンペーン「ひとりと、ひとつ。walk with you」のCMソング。今回のCMはいつも近くにいる存在として携帯電話の役割をアピールする内容で、カエラは堀北真希演じる女性の“携帯電話役”として CMにも出演する。「Ring a Ding Dong」は渡邊忍(ASPARAGUS)が作曲を担当。作詞は渡邊とカエラの共作となっており、タイトルには「ちょっと魔法の言葉みたいな、テンション の上がるハッピーな言葉になればいいな」という彼女の気持ちが込められている。”
http://natalie.mu/music/news/31632
ハッピーどころか携帯電話会社をマジで換えようという気になってます。ついでに昨晩はやはりTumblrやりながら「そろそろ日本人選手を覚えておかないと...」とサッカーをつけていたら、ここでも魂が捩れそうな音楽...、ええ調べてみますとも!
“Superflyの新曲「タマシイレボリューション」が、2010年のNHKサッカーテーマ曲に決定。早速昨日 NHKで放送されたサッカー親善試合「日本対イングランド」でOAされ、注目を集めている。”
http://news.music.biglobe.ne.jp/201005/article_77.html
注目...。とにかくオレは自分が日本に暮らしているんだろうと思ってはいますが、じつはここは日本ではなく北朝鮮/朝鮮民主主義人民共和国なんじゃないか、という疑いも少なからず抱きつつ今日も平穏に過せそうです。
でも、まあそんなことはどうでもいいんだ。物心ついた頃からヨノナカの状況はずっと一緒、いま不快に感じている音楽が流れなくなっても、どうせその後にはまた、さらに不快な音楽がどこかから流れてくるに決まってるんだから、いいんだ。
あっ、愚痴を書きたくてひさしぶりにしちめんどうくさいHTMLやろうとしたんじゃなかった。じつはしばらくまえにBon Iverというシンガーの歌っている「Come Talk To Me」をTumblrで聴きまして、そんで、えろう気に入りまして、そんで、さっそくアマゾりましたが、Bon Iverのアルバムはすぐに出てきたんやが(即1枚購入)、当該曲が入っているものは見つからず、それでもう少しネット上で探してはみたもののよくわから ず、そうこうしているうちにあるサイトでその曲の音源がダウンロードできてしまい、オレは「まあ、もうこれでええわ」と、それ以上「Come Talk To Me」を収録したCD(だかアナログディスクだか)を探すことを止めてiTunesに放り込んで愛聴しているんや、とそのことを書き記しておきたかったの です。なぜ一部関西弁になってしまったのかは自分でもよくわかりませぇへんのやで。
そのむかし、友人からレコードを借りてテープにダビったりしていたころから、好きになった音楽は(新譜、あるいは中古ででも)メディアを自分で買って所有 するようにしてきました。そうすることが「自分の好きになった音楽」であることの証、みたいな感覚で。貸しレコード屋、レンタルCDショップ、「自分で CD-ROMが焼けちゃう~CCCD騒動」の時代になっても、iTunes Storeをときどきは使うようになっても、ずっと。本気で好きになれば、プレミアのついたCDシングルに入っている未発表曲1曲のためにでも、おカネを 払って音源入りメディアを自分の手元に置いてきました。ジャケットのためだけ、なんてことも珍しくなかった。だけど今回初めて「まあ、もうこれでええわ」 と思いました。オレ的にはこれは、重大な事件です。
ここ数ヶ月ちょっと忙しくて、その間に買ったCDは本棚にズドンと積んでありました。週末、ひさびさにそれらをCD棚に移動しようとして、あっ、整理して 並べてはあるのだけど、新しいのを古いのと並べようとして、どこにどれを、とちょっと迷いました。同時に、CDってめんどくせぇなぁ、ケースも知らぬ間に 汚れてて、うわぁ...、とも。重大事件です!
もともとラジカセで音楽を聞いて大人になり、オーディオなんて全然気にしない性格。アナログもCDも、何盤だとかリマスター云々なんてことにはあまり興味 がなかったので、まあ、いずれこうなる運命だったのか? 今後もCDは買うでしょうが、しかし1度「まあ、もうこれでええわ」と思ってしまった以上、今後 は「音源だけ所有している好きな音楽」ってのが増えていくんだろうなぁ...。今晩、現在8万0881曲入っている外付けHD、最新にアップデートして寝 ようっと。

「Flume / Come Talk To Me」/Bon Iver (1982)

ではでは。
(20100531)


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JamiroquaiのカップヌードルCMが悲しい
ちょっとまえ、最近おもしろがってるTumblrのダッシュボードに、
"ジャミロクアイのカップヌードルのCM見て、そこはかとなく、言いようもない悲しみに襲われた。" Twitter / 津田大介 (via handa)
というのが流れてきて、激しく反応してreblogしたのですが...。
このQuoteは「ほっかの~じゃや~よぉ~~ カップヌードルがいいYo~~ 」っていう「Virtual Insanity」の替え歌についてでしょう。くだんのCMがCGなのかどうかはどうでもいいし、また津田さんというとオレ的には2004年に買った「誰 が『音楽』を殺すのか?」(翔泳社刊)の著者だなぁという気分なんですが、それもまあどうでもよくて...と、mmm、あいかわらずいつまで経っても話の 枕が長くてなかなか自分の本当に書きたいことがかけなくてきっとオレは一生話の枕のような人生を送って無為に死んでいくんじゃないだろうかと思ったりもし て...、あっ、こういうこと書いているほどヒマでもなかったんだ、今日は。
よく調べず乱暴に書いちゃいますが、津田さんが「悲しみに襲われた」原因は、作者っうか著作権保有者(ジェイ・ケイ)が「Virtual Insanity」を「自分のもの」だと思って勝手に色つけちゃったからだと思います。これに似た感覚で、オレがむかしからずっと思っていることを、 ちょっとだけ書いておきたくなった。
たとえばあるミュージシャンがある音楽を世の中に発表して、後年インタビューとかで「あの曲にはこんな思いが込められていた」「あの曲の歌詞はこんな意味 だった」「あの曲は好きだけどあの曲は嫌い」みたいな話をしたとする。そういうのに触れると、オレはときどき「あなた、たかが作者っていうだけの分際で、 なんであなたがオレの好きなものに勝手に色づけしますかね!」と思ったりする。あるいは、あるミュージシャンがライヴでオレの好きな曲を演奏したとして、 オレはときどき「あなた、オレの好きな曲を、勝手に違うようにプレイして楽しむんじゃありません!」と。
たとえば「I Love You」っていう言葉を含んだ音楽(ときには歌詞だったり声だったり音だったり)が世の中にCDなり音源ファイルなりの“定番”として放り出されて、それ をどこかで誰かが好きになったとして、そのときの「I」や「You」は受けとった側のものとして開放されていてほしいのです。そこに制約を課したり、ある いは意図的に増幅させたりするような作者の姿勢は、オレは好きじゃないんです。「あなた、戸籍とかそういうのではいまだにその曲をつくったのと同一人物と されているだろうけれど、でももうあのころの爪も髪も別物になってるだろうに...」とか言ってやりたくなることも、過去にしばしば。ましてや受けとった 側に断りもなく、ラ~メンのCM曲に替え歌しちゃうなんて、言語道断! 1度世の中に出ちゃった音楽は、作者じゃなくみんなのものなんです!!
とつらつら書きながら「そうとう乱暴だなぁ」とも思っているんですが、まあいいや、今日は。そもそも“定番”の音楽ってなによ? リミックスやリマスター されたものは“定番”でいいの? とか書き出したらきりがないのですが、でもまあそんなのも「話の後枕」みたいなもんだと割り切って乱暴なまま終わり。オ レの人生はもうそう長くもないので、枕はなるべくいらんのです。
あっ、それで、なんで急にこんなことを書きたくなったのかといいますと、これから別部屋にいちおうオレが作者とされているものについてインタビューされて いるわけでもないのに勝手に少ししゃべりたくなって、それが、ものすごく気が重いからなのでした。書きたいことはあのなかに全部書いたはずなんだから、あ とで付け足すことなんてなにもないんですよ~、って思いつつも諸般の事情でちょっと書きたいことが出てきちゃって...。あっ、でも...あっ、まあ、も うこういうときは自虐的な後々枕もなしで、これで終わり!
ではでは。
(20100629)


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